このまちレポート

久地1丁目地内の浸水原因について報告書がでました

2011年9月9日

川崎市は,8月26日、昨年12月3日早朝の大雨により円筒分水水門付近の二ヶ領本川の水位が上昇し,久地1丁目地内で床上浸水被害が発生したその原因等について、学識経験者でつくる調査検討委員会のまとめた報告書を公表しました。この水門は,円筒分水下流への用水を供給するために設置されたものです。

私は12月16日の一般質問で、なぜ浸水したのか、水害の自動設定等に問題があったのではないかと質問し,危機管理体制等も指摘しました。
水門の自動設定は、通常水位を3,4mに設定し,降雨で3,75mを超えて,10分経過後、開門するシステムということですが、私は、その開門が遅れたことにより水があふれたと考えざるを得ず、システム自体に問題があるのではと質問しました。

局長は、降雨量と浸水の関係や水門の自動開閉システムについて,専門家が入る調査委員会を早期に設置しH22年度末までに検証すると答えたのですが,今回、予定よりも5ヶ月も時間がかかりましたが、検証の報告書がまとめられ、私にも説明がありました。

それによると

水門の施設自体は機械的には故障していなかったが、「計画を大きく上回る局地的豪雨によって生じた急激な流量の増加に伴い、円筒分水水門の操作基準となる水位計付近で水位が低下したため,正確に二ヶ領本川の水位を測定することができず,水門操作に遅れが生じたため,当該洪水に対応できなかったものと推定される」ということです。

流量の増加に伴いなぜ,水位が低下するのか?・・と疑問をもちますが、そのことについて,「水位計の設置位置付近に円筒分水に送水するゲートが設置されているため,下向きに強い流れが生じ,渦などが発生したことで水面が乱れ、正確な水位を測定することができず,その結果、ゲートが設定どおり作動しなかったことが推定される」とのことですが、水をゲートで人工的にせき止めているのですから水位計が正しく測定できない設定ではこまるわけです。ましてや、近年のゲリラ豪雨的なふりかたを想定外ということですまされないと思います。

しかも、水門待機時間について,当時、10分と説明していたのに実際は10月末に15分に変更していたというのです。渇水期や出水期にあわせ水門時間を変更できるシステムとなっているとのことで、10月末に5分遅らせて15分の設定にしたのだと思いますが,そのことを把握していなかったという危機管理の甘さも指摘せざるをえないと思います。

その水位低下は約30センチと言うことですが,30センチの誤差のために,当日の親ゲートは20分止まっていたのではないかということです。やはりその時間設定をあらゆる事態を想定した設定にすべきと思いますし、急激な大雨警報のときには、待機時間の設定を短くするとか見回りをして手動操作するなどの体制が必要です。

被災者への賠償について、その渦の発生を予見できるかできない問題なのかの検証に関わっていくという説明でしたが、人工的に川の水をせき止めて、水位計に基づき、水門を自動操作して,水を流すやり方をしている以上,水門操作のありかたや、危機管理体制に問題があると思います。

今後の浸水対策として短期的には水門の早期開門、水位計観測地点の改善、浸水発生の恐れがある場合の迅速な対応など、中長期的には水門システムや水門本体の改修、護岸を高くすること、用水への送水は排水ポンプを使い,水門の撤去を可能にすることなどをあげています。

再発することのないよう、対策をとることを今後も注視していきたいと思います。