このまちレポート

TPPとわたしたちの暮らし、TPPに道理なし

2011年11月15日

野田総理が、「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明した翌日、12日に「TPPに道理なし」と題した学習・講演会に参加しました。講師は、東京大学大学院教授の鈴木宣弘先生です。TPP学習会写真1
首相が発表を1日遅らせたのは国民の反対が予想を超えて大きいからだと思いますがあれは茶番劇だと、そして情報が国民に明らかにされていないのは情報操作されていると。震災があって情報を公開せず、徹底議論もなく、エイペック首脳会議の11月にすべりこませればという徹底的な情報操作がされてきたとの告発に改めて怒りがわきました。
入ってみてから都合が悪かったらやめればよいとか、不利益なことは交渉で防ぐというけれども、TPPとは本来、例外なき関税の撤廃であり、例外は認められていない。アメリカの要求に何でもやりますといわなければ、TPPに入れないものだという。参加が認められるかどうかはアメリカの議会の承認が必要というのです。

農業が壊滅的な打撃を受け、食料自給率が今でも極めて低い40%から13%に落ちこむことが政府自身が明らかにしています。地球的規模で気候変動がおこり、干ばつや大水害が頻発し食料危機に襲われることが現実的なものとなっているのに、自分の国で食料が調達できなくてどうなるのか。
   既にアメリカから、日本の食の安全を守るルールの廃止を要求されている、例えば、狂牛病の防止の為に、若い牛しか輸入しないことにしているけれどもそれもだめだということになり、遺伝子組み換え食品の表示義務の廃止や残留農薬の基準も日本に比べて何十倍も緩いアメリカ並みの基準に緩和される可能性が大きいということ。TPP学習会写真2

医療も当初政府は、TPPと無関係と言っていた公的医療の分野でも、混合診療の全面解禁を求められる可能性を否定できなくなりました。日本の保険証1枚で公平な医療が受けられる国民皆保険制度が崩れることになってしまうのです。株式会社の経営する医療、儲かる医療にアメリカ資本が入ってくる。小児科、産婦人科、救急医療などいわゆる不採算部門の撤退がおこり、医療が金儲け優先に走る可能性が大きくなる。アメリカは、医療の公的保険がなく、全て民間保険であり、お金のない人たちは、無保険で、無保険者は3〜4千万人もいるということです。アメリカに留学経験のある先生は、アメリカで歯を抜くと100万かかるので、いったん日本に帰国して抜くという話をよく聞いた。
医療生協のドクターも、盲腸の手術は日本では20万円だがアメリカは100万円。日本では40万円のお産も100万円から150万円で、日本では5日入院だが、アメリカは日帰りか1泊2日。全身麻酔の外科手術もリハビリとあわせて1ヶ月間の入院も2泊3日程度で退院というアメリカの医療の実態を聞いて、空恐ろしくなりました。無保険の人たちは医療を受けることができないのです。

日本の医療制度は、公的保険のもと、高くなったとはいえ3割負担で平等な医療がうけることができるのに、混合診療解禁になったら大変です。今でも一部保険のきかない医療があり、先進医療を受ける時のための民間の医療保険のメニューがでてきましたが、TPP参加で、アメリカから生命保険会社が日本を市場として狙いさらに参入してくることは明らかです。

全国の農協団体や医師会を始め、多くの国民が反対をしています。先生は、野田総理が参加表明してもすぐには交渉に参加できないことや、米国の議会承認には半年はかかるでしょうから、TPP参加反対の共同をさらに広げましょう。これからが正念場ですと言われました。ちょうど午前中にテレビにでて、参加賛成の教授とバトルされていた先生を、講演会でマジかに見て、わかりやすく、熱く、時々ユーモアも交えて話され、とてもよかったです。
会場はいっぱいの参加者でした。