11月18日の健康福祉委員会で、11月25日開催される川崎市国民健康保険運営協議会に諮問する予定である算定方式の見直し案について、健康福祉局より報告がありました。
国保法が改定されたことにより、国民健康保険料の計算方法が平成24年度から変わります。今まで川崎市は、住民税を基準として国保料を算定してきましたので非課税世帯や扶養控除、寡婦控除、障害者控除などの所得控除を受けている世帯への国保料を低くする措置がとられてきましたがこうした住民税方式をとっている自治体は少なくなり、国が法律改正を行って全国統一した計算方式にするとしたためです。この方式は「旧但し書き所得方式」といいますが、中間所得以上の保険料は下がる一方で、低所得者及び障害者控除や扶養控除等、住民税の所得控除を受けている方々に、保険料の大幅値上げが直撃してしまいます。
市の示したシミュレーションによると、給与収入200万円の、小学生2人を含む4人家族の保険料は、平成23年度99,750円から27年度には10%の緩和措置がとられても18万440円へと、1,9倍に跳ね上がるなど、低所得者ほど値上げ額が大きいというものです。これでは保険料を払いたくても払えない世帯がさらに増大する恐れがあります。市は激変緩和として平成24年度90%、25年度60%、26年度30%、27年度10%の軽減措置をもうけましたが、それでも値上げ額がとても大きいのです。
2010年度、市内の国保に加入している世帯の総所得200万円未満は145,166世帯にのぼり、全加入世帯の約6割に達し、08年度より8658世帯増加しています。中でも所得なしを含めた100万円未満は、7414世帯増加するなど国保加入世帯の貧困が広がっているのです。こうした世帯への大幅値上げの直撃は、医療をうけられなくなる人をさらにうみだしてしまうのではないでしょうか。国の国保料の軽減措置の拡大と、市としても、軽減割合を高くするなど拡充すべきと考えます。そして 従来の市の所得減少減免や生活困窮減免制度を周知徹底し、誰もが医療を安心して受けられるようにすべきです。
国民健康保険は、旧法第1条による「相互扶助の精神」から1959年に「社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする」と全面改正されました。また、低所得者が多く加入し、保険料に事業主負担がない国保は適切な国庫負担なしには成り立たないと言うのが政府も認めていた国保財政の原則です。しかし1984年、医療費の45%とされていた国保への定率国庫負担を38,5%に引き下げる改悪を皮切りに現在は34%にまで縮小されました。
誰もが安心して医療が受けられる、日本の国民皆保険制度をしっかり守っていくために、この国庫負担の割合をもとにもどし、軽減制度の拡充を国に強く要望していくことがますます大切になってきました。
この問題も12月議会の代表質問でとりあげます。