予算審査特別委員会で教育長に質問しました。質問書と答弁書を掲載します。
●石田質問 1
「子母口小学校の合築問題について、本年1月に2回住民への説明会が行われ、案内をいただき私も参加しました。様々な意見、質問がでましたが、一番多く出た質問は、分離新設の計画から小・中学合築に変更された理由について、国とどのような協議がされたのかということでした。国家公務員宿舎の廃止が延期されても、国税庁の用地内を借りられなかったのか、必要な用地だけ部分買収ができなかったのかという質問だったと思います。
確認をしたいと思いますが、この2点の質問に対しどのような説明をしたのか伺います。またその内容の協議を国との間でいつ行ったのか伺います」。
○教育長答弁
「市営蟹ヶ谷四方嶺住宅跡地に隣接する国家公務員宿舎用地についてのご質問ですが、
当該国家公務員宿舎用地の確保に係る国との協議については平成19年7月に国より開催された「国有財産の有効活用に関する報告書に係る説明会」以後、平成22年8月までの間に20回程度行ったところでございます。また、当時の国との協議においては、当該国家公務員宿舎用地については、国有財産の有効活用の観点から一体的な売却を予定している、とのことでございましたので、本年1月に住民主催で実施された説明会におきましても、その旨をご説明したところでございます」。
●石田質問 2
「蟹ヶ谷国家公務員宿舎を「平成20年度に廃止」するという平成19年6月の国の決定を受け、川崎市は「川崎再生フロンティアプラン第2期実行計画」に、「子母口小学校の過大規模、施設狭隘の解消のために市営四方嶺住宅跡地周辺への分離新設計画」をもりこみ、平成20年度に関係機関との調整、平成21年度に基本構想、平成22年度に実施設計とし、平成23年度以降工事着手としました。この間に20回ほど国と協議を行ったとのことですが、その協議では、国有地を一体買収することにしていたのか、一部買い取りだったのか、議会への説明資料の「国有地を含めた」としている計画について協議内容を伺います。
また平成22年度予算に「四方嶺跡地学校施設整備費」2,473万円余が計上されていましたが、この内容はなんだったのか伺います」。
○教育長答弁
「国との協議内容等についてのご質問でございますが、
当該国家公務員宿舎用地につきましては、国からは一体的な売却を予定しているとのことでございましたので、当時は、それを前提に、用地確保の手続きやスケジュール、整備手法等について、協議をおこなっていたところでございます。
次に、平成22年度当初予算の内容についてでございますが、四方嶺地区小学校新設事業といたしまして、市営蟹ヶ谷四方嶺住宅跡地周辺での小学校新設に向けた基本構想策定等を歳出予算として計上したものでございますが、平成22年8月に分離新設から合築整備へと方針変更を行い,合築整備基本構想をとりまとめたところでございます」。
●石田質問 3
「そこまで取り組みを進めながら、なぜ方針転換されるのか、理解しかねる訳です。
1月の説明会で、「国有地内を借りられないのか。部分買収ができないのかなど国と交渉したのか」という住民の質問に対し、国から「一部売却も借地もだめと言われた」と国と交渉したけど聞き入れてもらえなかったことが、方針転換の理由のように説明されましたが、私は、腑に落ちませんでした。
私は昨年の2月に財務省から「新成長戦略における国有財産の有効活用について」レクチャーを受けました。「原則売却優先との管理処分方針を見直し、売却に加え、定期借地権を利用した新規貸付等も選択できるようにする」「保育所、介護施設等の事業について地方公共団体等の事業者が施設整備を行うときに定期借地権を利用した未利用国有地の貸付などを行う」などの説明を受けたからです
再度、今年の2月、衆議院の志位室をとおし、国家公務員宿舎の存廃方針について財務省のレクチャーを受けました。
聞き取りの中で、「現在在蟹ヶ谷宿舎には3名ほど入居しているが7月には全戸退去する。義務教育の学校建設のため川崎市から要望がだされれば検討の余地がある。平成22年8月以降川崎市からの直接接触はない。一部売却とか貸付等の要請がないので返事のしようがない。市はどうしても27年度開校が必要だといっていたが、もう少し待ってもらえたら違っていたと思う」ということでした。
再度伺いますが、平成22年2月以降一部売却、貸付等の要望や交渉を行ったのか、それでもだめと言われたのか伺います。もっと粘り強く交渉を続けるべきではなかったのか伺います。また27年度開校にこだわった理由もうかがいます」。
○教育長答弁
「国との協議についてのご質問でございますが、
当該国家公務員宿舎用地の確保に係る国との協議については、一体的な売却を前提とした協議を行っていたところでございます。
そして、これらの協議の結果、平成22年2月の段階において、国から、「平成24年7月に当該国家公務員宿舎の居住者の移転終了。同年度の売却」という、国として考えられうる最短のスケジュールが示されたところでございます。
また、国との協議にあたりましては、当時はできる限り早期の開校を間指し、用地確保の手続きやスケジュールの短縮化へ向けた協議を行っていたところでございます」。
●石田意見要望
「廃止延期が国から示されたあとの、国との協議が今ひとつ不透明です。結局本市の方針としても一体売却を前提にしてきたということです。だとしたら住民の質問にそのように答えるべきだったことを指摘しておきます。
国が最短のスケジュールをしめした際に、開校が数年延期されても、長年の子母口小学校の過大規模解消のために、当初計画どおり分離新設を行う選択もあったのにしなかったということだと思います。
分離新設から合築に方針転換を決定した報告を受けて、私は本当にそれでいいのかと問題点をあげて何回か質問してきました。
1つは、小・中学校合築で2000名規模の日本一のマンモス校になり、過大規模解消にならないということす。
蟹ヶ谷地域から400名余も子母口小学区に通学しているのですから、広い蟹ヶ谷地域に小学校は本来必要です。大震災が予想される中、地域の避難所としても必要です。
2つは、6歳から15歳までひとつの学校で教育環境上どうなのかというこ とです。
3つは、仮設校舎への通学路が、遠くて高低差37mと言われる急坂道 や交通量が多くて危険箇所があるということです。子母口小学校の 校長先生は一番遠くて1時間はかかるだろうといわれていました。 小学校1,2年生の子どもには2年間無理を強いるのではないでし ょうか。
4つめは、高津区と中原区は人口増加が2035年まで続くと市が推計して います。予測を超えた児童の増加があった場合と今後の少人数 学 級 への対応は本当に大丈夫かということです。
5つめは、分離新設後の子母口小学校の老朽対策と東橘中学校の狭 隘対策は、はじめからわかっていたのですから別途、対策をたて るべき と思います。
最後に、
政策転換を決定する前に保護者や住民の意見を聞き議論すべき と いうことです。本市の市政運営の骨格をなす実行計画の方針変 更が、もう決まったことだからと事後報告されるのでは、住民自治 と言えないのではないでしょうか。昨年3月教育委員会が保護者に実施し たアンケートは,合築を前提にした内容でした。 子どもたちに豊かな教育環境をつくるために、多少待っても分離新設か、あるいは合築か是非も含めて納得のいく議論と地域の合意 が必要だと思います。からでも遅くありません。より良い学校をどうつくっていくのか、十分な議論をすることが、これからの新しい学校づくりや教育に、そして四方嶺住宅跡地と隣接国有地の活用に生かされていくと思います。
そのことを強く要望しておきます」。
後述
国との協議内容の教育長答弁と、説明会における行政の住民への回答とが食い違っていることについて、どうどうめぐりでした。いずれにしても。私の思いは、最後の意見要望でいったことにつきます。
分離新設したあとの課題である子母口小学校の老朽化と東橘中学校の狭隘化の課題を,合築で一挙に解決するという財政面の緊縮化から考えられたものと言わざるを得ないと思います。「過大規模解消」という長年の、そして肝心の課題解決は、おいやられたわけです。本当にそれでいいのかと今でも考えています。
教育はすぐにはこたえが出ません。だからこそ、長期的なスパンで考えるべきです。
この問題は最初からわかっていたことですから、分離新設を進める中で、別途対策を立てて子母口小学校の改築、東橘中学校の施設狭隘対策を示すべきでした。