川崎市が平成22年度に公立保育園民営化計画である5園の保護者説明会が8月末から順次開かれ、「民営化のQアンドA」も保護者に配られています。
●選定理由について
5園を選定した理由として「将来においても継続的に保育需要や長時間延長保育などの利用が多く見込まれる地域であること」と説明されていますが、5園のうち3園は定員増がなく、長時間延長保育のニーズについても、当該園やその周辺地域に具体的ニーズ調査をしたわけではなく、なぜ選定されたのか納得のいく説明がされていません。
代表質問でこの選定根拠について質問しましたが、「過去に行なったニーズ調査で午後7時以降のニーズが多数よせられていたので新設保育所や民営化園で実施する」という答えで、これでは全ての園を対象にこの理由があてはまるといえるもので、なぜ私たちの園なの?という保護者の疑問に答えたものではありません。
●過去のニーズ調査とは
その過去のニーズ調査とは、4年前の平成16年に次世代育成行動計画を策定するための基礎データ収集を目的にして全市的に実施したニーズ調査です。「19時から20時まで保育を利用したい」の設問があって希望するという回答は11・8%、集計表でみると267人です。地域限定で行なったわけではなく、これで将来の見込まれる地域といいきれるでしょうか。
●多様化するニーズにも対応可能なはず
また公立保育園 を民営化するのは「多様化する保育需要に柔軟に対応するための手法」ともいっ ていますが、公立保育園もすでに19時まで延長保育を行なっているのですから20時までの保育も可能なはずです。
●こどもの育つ場にコスト論を導入すべきではありません
保育計画・改訂版(平成19年3月)にも「QアンドA」にも公立と民間の運営費の差が書かれています。指定管理制度導入で管理運営費の縮減を図るとされていますが、運営費の約8割を占めるのが人件費ですから、人件費を抑制するためには指定管理者は経験年数が少ない職員に多くを入れ替えざるを得ないのです。川崎市職員人事に関する統計報告によると、公営時の経験年数は21・4年ですが、民営化後は3、3年から5,5年の間です。専門職種として経験を蓄積するには、継続的な雇用に資する適正な人件費が市から保障されなければなりません。
特に企業参入は保育の市場化、競争化で保育環境の後退が危惧されます。こどもの育つ場にコスト論はなじまないことを、今議会でも主張しました。