先に更新した「いのちをつなぐネットワーク」のとりくみは、福祉行政の心をとても強くかんじました。孤立死は、生活保護の受給が必要なのに、地域で孤立し気づかれない状況下でおきる。あるいは生活保護から、一応自立したということで打ち切りになったあと、地域の見守りが届かず、セーフティーネットの網から落ちてしまったときに起きるということです。網から落ちてしまうことのない、隙間を埋めるとりくみを行うことが必要であり、その取り組みを通して地域の福祉力も高まっている。福祉行政は訪問を重視という担当者のお話に、「そのとおり、川崎もこうでありたい」と思いました。
北九州市の中学校給食は、2009年度から11年度までの3年間で全校実施になりました。2007年度に、「食育推進会議」を設置し、法律で義務づけられた市の「食育推進計画」の策定に向けた議論と併せて中学校給食について、子どもの食育の観点から幅広く議論、具体的には食育及び中学校給食に関するアンケートを実施、中学校完全給食のモデル事業の実施、中学校完全給食に関する議論を整理し、実施に踏み切っています。
アンケートで、中学生の食生活の状況を把握。「食育に関心ある」は約5割にとどまる。「朝食をほぼ毎日食べる」は約8割にとどまる。「栄養バランスへの心がけをいつもしている」は約2割。「体が疲れやすい」は約8割、情緒面での不安、「いつもイライラする」は約6割でいずれも朝食を食べていない子に多い。
アンケートからうかびあがった食生活の実態と「食育の観点」から完全給食の実施に向けた具体化がはじまり、07年度の3学期から1年間掛けて、4校でモデル事業を行ったとのことです。民間のお弁当屋さんでつくり、弁当箱に入れて運ぶ方式、食缶で運ぶ方式、小学校でつくり運ぶ方式をモデル実施し、実施校の生徒・保護者・教員へのアンケートを実施するなどの検証を行う。
また先のアンケートで中学校完全給食に対する意向調査では、市民、保護者、では約7割が必要と答え、教員は約7割が必要ないと答えたとのことですが、その理由はプラスアルファの業務が増える、不安が大きい、下校時間がおそくなるのではということだそうです。いずれにしても踏み出すまでの検討はあらゆる角度から実施していることがわかりました。全国公立中学校では、平成18年5月時で79,9%の実施率、17政令指定都市中11都市で実施、実施している他都市を視察、いずれも生徒、保護者、教員の評価は良好であることも取り組みのひとつとのことでした。
北九州市の「親子方式」とは、近隣小学校1校か2校の厨房で中学校の給食もつくり運ぶ方式です。児童生徒数が30年前と比べるとおよそ半数に減っているため、そのキャパが小学校の厨房にあるということや食事の暖かさ、量の調節等もしやすい、できるだけ経費がかからない点等が親子方式に決定した理由とのことです。
中学校完全給食の実施とともに栄養士もそれまでの60人から95人へ増員したというのも驚きでした。
中学校完全給食に対する評価・意見では、 教職員は生徒同士のコミュニケーションが図られている。食生活やマナーの向上につながった。不登校の生徒が給食を楽しみに登校するようになった。
生徒は嫌いな物がすこしずつ食べられるようになった。皆で給食を食べることにより会話が弾むようになった。アンケートでは、おいしい、おおむねおいしい、ふつうが84%、楽しい、どちらかというと楽しいが85%とのことです。
保護者から、日頃の家庭での食事内容を考える上で参考になった。家庭での味付けが濃いと感じた。などよい評価が得られた。やってよかったの声のほうが多かったとのことです。
説明していただいたあと、市立板櫃中学校を視察させていただき、給食搬送車の到着、配膳室に運び入れ、配膳員が、温度、分量等をはかり、一人分の目安を示す。クラスごとに棚にわける。各クラスから当番の生徒がとりにきてクラスでもりつけ、給食を食べるまでをみせていただきました。ちなみに、全クラス分の残量をおかずごとに毎日計測し、記録しているということです。子どもたちがとても楽しそうで、食べているお子さんに聴くとおいしい、楽しいということばがかえってきました。川崎の子どもたちにも是非完全給食をと思わずにはいられませんでした。「こんにちは」と気持ちよいあいさつをたくさんかけられました。
その後校長先生や栄養士さん、教育委員会の担当係長さんとご一緒に給食をいただきました。献立はのっぺい汁、魚と大豆のみそがらめ、野菜のゆかり和え、ご飯、牛乳です。とてもおいしかったです。ご飯は週4日。ごはんもパン屋さんに委託。直接中学校に届きます。ひとりぶんずつ食缶にはいっているため、あたたかくてとてもおいしかったです。魚と大豆のみそがらめのつくりかたを知りたいと思いました。作り方やエネルギー量やつくる時のワンポイントアドバイスなどを北九州市のホームページで公開しているとのことです。
今後、完全給食を実施したことで、食育上の効果がどうなったかなどの検証を行っていくとのことです。
質問もたくさんさせていただきました。前の市長さんはお弁当のよさを強調していたが、中学校給食を公約した市長さんが当選したことから実施に向けて市政が動き始めたようです。
全国ではさらに実施率が増え,100%実施の県もでてきているなか、私たちは、この間、川崎でも食育の観点からも中学校給食の実施をすべきと取り組んできました。しかし、昨年の12月議会で、市長は給食を実施することが保護者がお弁当をつくらないことを推奨することになるなどと答える等、あまりにも落差を感じます。育ち盛りの中学生に栄養のバランスのとれた、おいしく暖かい給食を!。
みんなで同じ給食を楽しそうに食べている光景を川崎でも是非と改めて強く思いました。