このまちで子育て

保育の公的責任を放棄する「子ども・子育て新システム」が審議入り

2012年5月15日

消費税増税と一体の社会保障改悪法案のひとつである子ども・子育て新システム関連3法案の質疑が10日、衆院本会議で始まりました。

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共産党の高橋ちづ子議員の質問に対し,野田首相は、待機児童問題について、現行制度は機動的でないとし,多様な事業者の参入として株式会社の参入を認め、株式配当も認めるとしています。利益をだそうとすれば人件費を削るか質を落とす意外にありません。
児童福祉法第24条は市町村に保育の直接的な保育実施義務を明記していますが,新システムはこれを削除します。自治体は,保育の必要度の認定を行い,入所は保護者と園の直接契約にするとしています。

動画で質疑をみましたが、新システムの一体どこが「すべての子どもに質の高い学校教育と保育の保障ですか」と言いたいです。

「異議あり!新システム」
先日のしんぶん赤旗に、川崎市のある認可外保育所(現在,廃園)で11ヶ月の息子さんをうつぶせ寝にされて亡くされたお父さんの、「異議あり!新システム」への取材記事を読みました。身を切るようなつらい体験からの告発に,本当にこのシステムの本質をみるおもいです。法案をとおしてはならないと強く思います。

その記事には、「この死亡事故について市は園に対する調査要請をしていましたが,再三に渡り,拒まれてきました。新システムになって公的な責任が後退してしまったら,劣悪な施設に対する指導はよりいっそう弱まってしまう危険性がある」と指摘しています。

「しかも、園と親との直接契約となり、トラブルも当事者間で解決しなさい、などとなったら,親は今以上に弱い立場におかれてしまいます。園に関する情報ももっと入手しにくくなるでしょう。そういう園を選ぶのも自己責任となったら,親は一体どうやって園を選べばいいのか」

「新システムでは,民間企業の参入で待機児を解消しょうとしている。企業は利潤を生みださなければならないので,保育にかけるコストや保育士の賃金をカットしたり,守るべき基準を低くしたりすることが当然考えられる。わが子を亡くした私たち親にしてみれば、それは違うだろうと思うのです。むしろ基準はもっと上げるべきです」と訴えています。

新システム廃案に,全国から親子ら6000
5月13日、東京・明治公園で「いりません!保育を産業化する子ども子育て新システム 5・13みんなの保育フェスティバル」が開かれ,6000人を超える子どもづれの保護者や保育関係者が集まったとのことです。

さいたま市の私立保育園協会会長さん、全日本教職員組合幼稚園部部長さん、保護者代表、保育士など、さまざまな立場の方が発言。「新システム関連法案の廃案を求め,すべての子どもの権利とすこやかな成長が保障されるよう運動を広げよう」とよびかけるアピールが採択され、都内をパレードしたとのことです。

幼い子どもたちの明日を守るのはおとなの責任
私は29年間保育の仕事をしてきました。どの子も心身健やかに育つ権利を持っています。この新システムで子どもは幸せになれません。子どもたちは、自分から声を上げることはできません。ましてや自分で保育所を選ぶことができません。幼い子どもたちの明日を守るのはおとなの責任です。

待機児童なくすには,国と市町村の責任で認可保育所を緊急増設し、保育分野への公費を増やし,保育士の待遇を改善することです。現行制度を拡充することでそのことは実現できるのです。