このまちレポート

「そうか!そうだったのか!TPP」胸にすとんとおちた学習会

2013年3月28日

3月23日、暮らしと経済研究室代表の山家悠紀夫先生の講演を聴きました。TPP交渉に参加したら日本の主権が奪われ大変なことになる。改めて強く思いました。とてもわかりやすく話してくださり、胸にすとんとおちました。CIMG2577

TPPとは
加盟国間の国境をできるだけなくすという協定で、例外品目なしの関税ゼロ、非関税障壁の撤廃 そして 加盟諸国の貿易,投資、経済活動等に関する制度や規則の同一化であり,国の主権のかなりの部分がなくなるということです。
もともとは小国間の協定で2006年に4カ国でスタートし、アメリカは2008年に参入希望を表明し,10年3月からアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムが、12年にカナダ、メキシコが参加し、21分野についてルールづくりの作業が進められ、まとまる間際に日本がはいっても既に決まっているところに誓約書を書いてはいるようなもので,とても交渉力でどうこうできるようなものではないとのことです。

アメリカの狙いは・・・
 
日本をTPPに参加させたいアメリカの狙いは、米国内の経済不振を打開するために、輸出に活路を見出したい,農産物の輸出を増やしたい、とりわけ日本がはいれば農産物を一番買ってくれるという新たな展望が広がる。将来はTPPを足がかりに「アジア太平洋自由貿易圏」をつくり,アジア太平洋圏内にアメリカ主導での構築を目指す、アメリカ国内と同じルールをつくろうとしている。

○政府はTPPに参加することは『開国元年』というけれど・・・
                   日本は既に十分に開国しています。 
非生産物の関税率は先進国中最も低いのが日本!〉  
   非農産品   日本   1,2    米国 1,9%  EU 2,4%  
   農産品      日本 12,5%   米国 4,1%  EU 9,8%

世界一農産物輸入国、先進国中今でも1番低い食料自給率〉  
  農産物年間準輸入額 日本 400億ドル ,英国 200億ドル, 独120億ドル  
  食料自給率              日本 40% ,スイス49% ,英国70%, 独84%

バスに乗り遅れるというが・・・
                 
中国,韓国、インドは参加の見込みはありません。
 
決してバスに乗り遅れるという状況なんかではなく、アジア各国は、ASEAN(タイ、インドネシア、フィリピン等)+3(日、中,韓)ないしASEAN+6(印、豪、NZ)を展望している。

TPP加盟でどうなるか
1、TPPの本質=関税ゼロから生まれる弊
 
国内農業・畜産業への影響が凄まじい。農水省の試算で主要農産物の国内生産額に対する減少率は、米が90%、小麦が99%、甘味農産物100%です。まさに壊滅的です。また牛肉は75%、豚肉は70%、乳製品が56%の減少率です。食料自給率は13%程度に低下するといいますから、世界的な食料飢饉が生じたらどうなるのか。恐ろしいことです。一度つぶしてしまった田畑,水田はそう簡単にはもとにもどれません。日本の豊かな田園風景が減少し,失われるのもあまりにも悲しいことです。

2、アメリカが要求してくるであろう統一基準から生じる問題
  アメリカの基準に合わせて農薬や遺伝子組み換え食品等の規制撤廃を迫られる可能性が高い。例えば,日本ではポストハーベスト(収穫後の農薬使用)を制限しています。TPPで,これが非関税障壁とされ,農薬の使用制限や表示義務がなくなる危険があります。関税がなくなり安ければよいという問題ではありません。口にいれる食品の安心・安全はなんとしても守らなければならないと思いますが、その安全が奪われることは恐ろしいことです。
  日本の医療制度は,世界でも優れた国民皆保険制度のもと、「いつでも、どこでも、だれでも同じ医療を受ける権利」が保障されています。その国民皆保険制度が危うくなることも大変な問題です。
  営利目的の医療ビジネスの参入がアメリカから求められ、日本の皆保険制度がその参入障壁とみなされる。混合診療が求められ、公的保険がきかない医療が拡大されれば、お金の有る無しで受ける医療がかわってしまいます。
先端医療等、保険が利かない医療を受けるためのがん保険などアメリカが得意の民間保険がさらにどんどん参入してくるでしょう。
  国や自治体が発注する公共事業やサービスの国際入札基準が大幅に引き下げられる可能性もあり、そうなれば,地元業者を優先させる制度も脅かされます。さらに雇用実態が厳しくなることが想定されます。
そしてなんとISD条項が組み込まれると、外国企業から損害賠償等の提訴がされれば、決定権はWTOや世界銀行の法廷になり、国の主権がなくなりかねません。

TPPは,知れば知るほど日本に不利でアメリカの利益のための協定だとおもいます。貿易は大事だけれど国や国民の利益にならない道を選択してはならないと思います。