今年4月、認可保育園を申し込んで入所できなかった=不承諾数は2,765人。しかし待機児童数は438人。この差はなぜなのか。待機児童の定義=カウントの仕方の問題点は6月議会でとりあげ、6月19日付けのホームページに書きました。9月議会では来年度以降の認可保育所整備について、待機児解消ができるのか、早急にゼロをめざすべき等を質問しました。
◆こども本部長の「来年度以降の認可保育所の整備について」の答弁
こども本部長は「就学前児童人口から推計した保育所利用申請者数を基に、認可外保育事業の再構築の効果等も踏まえ、関係部局とも協議しながら、現在、認可保育所の整備数を検討している」「国が今後4年間で解消すると言っているので市もできるだけ早い時期での解消に向けて取り組む」と答弁しました。
9月議会で、私達は市の「保育所整備計画」の基となる保育所申請の推計が、子育て世代のおかれている雇用実態や経済実態の厳しさからみて甘いということを指摘し、今年度中にたてる来年度移行の整備計画は、申請が急増している実態をしっかり反映した計画にすることを求めました。
◆市のこれまでの整備計画は入所申請の推計が甘かった
2007年度策定の「保育緊急5カ年計画」では、
「5年後の2012年4月の認可保育所申請数を1万6400人と見込み、5年間で2,600人の整備計画」をたてました。しかし実際の申請数は、早くも2年後の2009年に到達(1万6384人)しました。 2012年4月は、市の推計した申請数より4,325人も多く、2万725人になりました。この計画期間中に市は計画の見直しを行いました。
2010年策定の、「保育緊急5カ年計画改訂版」では
「今後3年間の新規の利用申請が毎年1,000人ずつ増加すると見込み、3年間で3,000人の定員を増やす」としました。共産党市議団は実態からみて推計が甘いと指摘し5千人の整備が必要と提起しました。
やはり、実際の新規申請数は、毎年1,000人ずつの増加にとどまらず、2010年度1,648人、11年度1,209人、12年度1,484人となりました。
市が答弁した「就学前児童人口に占める保育所利用申請者数」はどうか
就学前児童人口に占める保育所申請比率は2011年度23,94%、2012年度25,73%、2013年度27,39%と申請の比率が年々増加し、保育ニーズが高くなっていることがわかります。
◆不承諾数と潜在ニーズをしっかり定員増計画に入れて抜本的な認可保育 所の増設を。公立保育所の民営化ストップを!
来年度以降の整備計画では、就学前人口にしめる保育所利用申請比率を30%におき、認可保育所を申請しても入れなかった人数を待機児童とみて抜本的な認可保育所の整備を行うことを求めました。
市は「今後の保育ニーズの把握に努め、民間事業者の活用を基本として多様な整備手法により待機児解消にむけて取組む」と答弁しています。しかしこの民間事業者の多様な整備手法による整備の多くに企業が参入しているのです。
企業参入をどんどん進める一方で、人材も備わり、地域の子育て支援もがんばっている公立保育所の民営化を進める市のやりかたは納得できません。
私達はこの整備手法に重きを置くのでなく、市有地、県有地、国有地の活用を全庁的に検討し、民有地借り上げ型の保育事業者とのマッチング事業の整備等を提案しています。保育士不足も大変な問題です。待機児解消のためにも、経験を積んだ保育士が確保されているマンパワーのある公立保育所の民営化をストップさせるべきと考えます。