このまちで子育て

視察二日目、名古屋市の保育施策はとても勉強になりました。

2013年11月15日

名古屋市は認可保育園に企業が参入していません。

225カ所は、すべて社会福祉法人となっており,株式会社は1カ所も参入していないという事が,先の9月議会の共産党市議団の調査でわかり、どのような考え方で行っているのかを伺ってきました。ちなみに川崎市は211カ所のうち,公立を除く民間保育所164カ所のうち、社会福祉法人は82カ所,株式会社は68カ所も参入しています。

「意見をお聴きする会」で保育関係者、保護者等から意見を聞く

名古屋市では、平成20年度から待機児童数が増加に転じ、平成23年度全国最多の待機児童数に。有識者、民間保育園連盟会長、私立幼稚園協会会長、市民委員等で構成される「保育施策検討会議」は同年6月に「意見をお聴きする会」を開き、市民や保育関係者、保護者から意見を聴取し、保育所の入所に対して不安が高い事、保育関係者や保護者からは営利法人は人件費を抑えるために保育の質が低下する恐れがあるといった営利法人の参入を懸念する意見があったとのことです。

社会福祉法人からの積極的な意見が決め手になる

保育施策検討会議は、様々な検討を6回重ね、先の「意見をお聴きする会」の意見等も踏まえ、平成23年10月に「中間報告」で「提言」をだしました。その提言は、「これまで社会福祉法人が重要な役割を果たしてきたことや、待機児童の解消にむけて既存の社会福祉法人等の複数施設化などの努力も併せて行うという観点から、賃貸型などの新たな手法による保育所整備は,まずは社会福祉法人等を中心に進める事が望ましい」としました。社会福祉法人側から、積極的な意欲が示されたのがこの提言につながったとのことです。

さらに、提言は「スピード感をもった待機児解消が求められている現状から,社会福祉法人等による整備で十分な対応ができない場合を想定し、営利企業の参入を視野にいれ,認可するために必要な一定の条件をあらかじめ検討しておく必要がある」としています。具体的には整備のための公募を行った際に,応募がない等,社会福祉法人等により整備が進まない状況が2回あった場合には、株式会社等を認可の対象とするとの方針を打ち出していますが、まだそのような事態になっていないとのことです。市内、全国から社会福祉法人の応募があるとのことです。

公立保育所の民営化についてきいたところ、平成19年度から5カ所民間移管をし、現在公立保育所は120カ所。今後平成31年度までに18カ所行い、102カ所にする予定とのことです。川崎市はすでに12年間で25園も民営化,今後も10年間で36園も民営化し21カ所だけ残す計画です。家族01

名古屋市は待機児解消策の検討の際に,保護者、保育関係者,市民から意見を聞き,それを基に議論を重ねている事,これまで重要な役割を果たしてきた社会福祉法人の積極的な意欲を反映した施策を展開しているところに,行政の保育事業に対する見識と理念を感じました。川崎はそれにつけても、民営化も含めトップダウンで決めたことは、どんなことがあってもやり通し、当事者、関係者の意見を反映する姿勢があまりにもみられないとおもいました。