2月18日、予算議会が始まりました。予算分析は今,真っ最中ですが、17日にテレビ神奈川で放映された〈予算議会を前に〉で私が発言した内容を報告します。
1.新年度予算の出来,全体の評価について
一般会計の市税予算では、法人市民税について前年と比較すると17,4%増加していますが、増加の大部分は大企業の収益が増えている事によるものです。中小業者のみなさんからは,燃料や原材料の値上がりが続き営業が大変厳しいという声をたくさん聞いています。
個人市民税をみると、人口増により予算額は増えていますが、一人当たりの所得は非正規雇用の拡大などで減少しています。
市税予算全体の38,8%を占めるのが個人市民税ですから、市民生活と中小業者を支える施策の拡充が求められます。
市長は「最幸のまち かわさき」をめざしてといいますが、総体的にみると市民の期待を若干反映させている部分はありますが、川崎港コンテナターミナルの1号岸壁の延伸の具体化、高速川崎縦貫道路や羽田連絡道路等の大規模開発は積極推進が目白押しです。「ささやかな市民の期待の裏に大規模開発目白押し予算」と名付けました。
2.新年度予算の出来 注目する事業、不足と感じる施策は?
注目する事業として、私ども議員団がくり返し求めてきたなかで、地域の助産院を活用した「産後母子ケア事業」が新規事業として提案されました。また、「就学援助」の支給項目に部活動の経費がはじめて追加され,切実な要望だっただけによかったと思います。
また、防災機能の強化として,同報系部線の再整備、すべての小中学校に備蓄倉庫を順時整備するとして新年度40カ所整備、幹線道路や駅に近接する中学校にマンホールトイレを6カ所整備の予算が盛り込まれました。しかし最もいそがれる木造住宅耐震補強の予算については、耐震補強が必要な木造住宅がまだ2万戸も残っているのに,昨年度より減額されています。何時起きるかわからない巨大地震に備え,予防対策として拡充すべきです。
市長が公約し,「議会にすぐに提案する」と言われた「小学校6年生までの医療費助成」については、年齢拡充予算はつきませんでした。
また教育面では、少人数学級の拡充予算も見送られました。独自で拡大する自治体がひろがっています。川崎市教育委員会も「一人一人の学習状況を把握しやすい」「生活面での指導にも効果がある」と少人数学級の効果を研究報告書にまとめているのですから少人数学級こそ国待ちにしないで拡充すべきです。
高齢者福祉では、特養ホームの待機者が昨年の10月時点で5725人も待っておられるのに、整備予算は新たな整備1カ所を含む3カ所のみで新年度中の開設は2カ所のみです。予算額は前年より7億5千万円余も減額です。地域密着型サービス推進事業も2億円余の減額。介護サービス事業者支援・指導事業も5億円余減額されています。
がん検診事業も市長の任期中に受診率を政令市トップレベルにするといっていたので注目したのですが、予算額は3582万円減額しています。受診者数を低くみ込んでいるとしか思えません。
高齢者や障害をもつ皆さんがが安心して暮らせる地域社会、市民の健康寿命の延伸の取組等、福祉や医療の予算を拡充すベキと考えます。
中小企業支援策についても、商業振興事業予算、産業育成推進事業,信用保証等促進事業、農業技術支援事業等が減額されています。中小企業は企業数の9割以上、雇用者数の7割を支えています。まさに市内経済の主役は中小企業です。中小企業の振興と支援策の拡充予算が求められます。
3.〜「最幸のまち・かわさき」をめざして〜をどうみるか
待機児解消・中学校給食の導入に力を入れた方向性についてなど
保育所の待機児童の解消策については,この間認可保育所の抜本的な増設と認可外保育所への支援策等,私ども議員団挙げて取組んできました。
予算案は,認可保育所の整備で1540人分の受け入れ枠の拡大、川崎認定保育所の枠を900人増やし,保育料補助を増額し,認可保育所との保育料の格差を是正する等一定評価しています。
ただ、雇用の悪化と所得が減少しているなかで、一刻も早く,預けて働きたいという保護者の切実な実態が広がっている中で認可保育所への入所申請は,市の予測をはるかに超えて年々増加しています。
昨年10月1日現在の入所申請数は4月時点より,たったの半年間で約2000人も増え、入所できない人数は4494人で初めて4千人台になりました。今年4月に向けて申し込んだのに入れなかった現時点の人数は2762人で過去最多になっています。
こうした実態をみると,待機児童を2015年4月にゼロにするには認可保育所の整備がこれで対応しきれるのか、もっと整備数を増やす事が必要と考えています。私どもが提案してきた公有地の活用や民有地借り上げ型の整備等全庁挙げての検討を引き続き求めて行きたいと考えます。同時に川崎認定保育所への対策や区役所の相談員の増員等についてしっかり検証して行きたいとおもいます。
中学校給食については,市民の強い願いで,一貫して取組んできました。2016年度の全校導入をめざす頭出し予算がつきましたが,具体策はこれからです。安心安全で温かい給食の提供と地場産の野菜等を活用し,豊かな食育に取組んでいる東京都江戸川区と群馬県高崎市を視察しました。自校調理方式と全員喫食,栄養士を全校に配置しています。健康な体を作り,命を育む中学校給食になるように、川崎でも是非と考えています。これからも市民の皆さんと一緒に提案していきたいと考えています。
4.今後の市政課題 緩やかに景気回復しつつある一方,依然として厳しい状況が続く市の財政をどうすべきか(1分)
自治体の本来の役割は住民の福祉と暮らしをまもることです。4月から消費税率がひきあげられ,増税分を価格に転嫁できない中小業者が増えることは必至です。さらに年金が減り,70歳から74歳までの医療費の値上げも始まります。非正規雇用がますます増え続ける中で安心して子育てができる川崎。高齢者も障害をもつ方も安心して住み続ける事が出来る施策、中小業者への支援策の拡充が必要です。財源の問題が先ほどからでていますが、不要不急の大規模開発への支出を中止、凍結する等,歳出を抜本的に見直しして財源を確保し,福祉暮らし密着型に切り替える事こそ必要と考えます。