障害者相談支援事業が再編されて1年。従来の相談支援は,「障害者生活支援センター」35カ所が担っていましたが、区ごとに,設置数にばらつきがあったことや、半数を超えるセンターが1人配置であるなどの課題があったとして、市は各区4カ所、計28カ所体制に再編整備し,全センターに複数の相談支援専門員を配置しました。この相談支援事業は市が心身障害者手当を削減してしまい、浮いた財源6億3千万円を障害者の在宅福祉の充実に充当するとした事業のひとつですから、障害者の皆さんが地域で安心して生活するための相談や、希望するサービスにつながっているかなどを検証し課題があれば急いで改善するべきです。
質問
まず、①相談者が従来の生活支援センターから,新しい相談支援センターにひきつがれているかの状況について。また,②今までも例えば居宅介護事業所等からも「精神障害の方がたの相談が大変増えていて,障害者相談支援センターにつなごうと思ってもなかなかつながらない」という相談があり,私は相談支援センターの体制の強化を質問してきましたがその事態認識について。③新年度予算が昨年比6300万円余増額されている理由について,(増員のための予算計上の期待もあって)質問しました。
局長は「①従来の生活支援センターの利用者約2000人の方について一人一人に丁寧な説明を行い順次引き継ぎを行っているところ。2月末で引き継ぎが完了していない約90名の方にも同意を得ながら適切な対応を行う。②相談支援センターの体制については各区における相談支援業務の実施状況を踏まえながら,今後検証する。③新年度は相談支援専門員2名体制のセンターに、事務補助のための非常勤職員1名を配置するなど、予算の増額を図った」と答えました。
質問
法律が変わり、H24年度からは障害のある方がサービスを利用する時の利用計画を作成するのが「指定特定相談事業所」とされました。 ①当初この事業所が大変少ない状況だったが、カ所数はニーズに対し足りているのか。 ②指定特定相談事業所と併せて、作成の上限件数が設定されている「障害者相談支援センター」におけるサービス利用計画件数は何件か。 ③作成が必要なケースはどのくらいと見込み、そのための取組と課題について 質問しました。
局長は「①②制度発足時,指定特定相談事業所は12カ所から、現在23カ所になり、約260名の作成を行っている。あわせて障害者相談支援センターでは、約560名で計820名作成している。③一方、計画作成が必要な件数は約5700名と見込んでおり、利用計画の支援提供体制の拡充が必要であると考えている。相談支援センターにおける作成件数の増加や指定特定相談事業所の開設の働きかけを関係事業者に行うとともに各種研修の実施により量的・質的な拡充を図っていく」と答えました。
質問
各区4カ所ある相談支援センターですが、人口や障害のある方がたの多い区については,ニーズに応えるためにカ所数を増やす等,体制の強化が必要ではないか質問しました。
局長は「今後の体制のあり方については、各区における相談支援センター業務の実施状況を踏まえながら,検証して参りたい」と答弁しました。
再編された相談支援センターは、ケアマネジメントを含むソーシャルワークを推進する役割をにない、障害種別、年齢を問わない一時相談をワンストップで行うことになりました。今まで以上に訪問や同行等アウトリーチ支援、支援につながっていない方への支援,病院や施設からの地域移行,福祉サービスの利用支援なども行うとされ、地域で障害をもつ方々が安心して暮らすために重要な役割をもっています。だからこそ、この本来業務を十分遂行するために,相談支援センターのサービス利用計画の作成件数は上限が定められているのです。しかし利用計画作成が必要な方は約5700人と見込んでいるのに、現在、約820名作成されているだけということです。
相談支援体制の量的・質的拡充のためには、人的配置やか所数の拡充はどうしても必要です。検証するということですが,引き続き注視していきたいと思います。
地域活動支援センターの拡充を
地域活動支援センターは,多様なニーズや障害特性に応じた日中活動の場を提供する小規模な通所施設で,病院や施設からの地域移行、特別支援学校卒業生の進路先の確保と言った役割をになうとともに自主製品の製作や販売等の活動を通して地域との交流の場となっています。
地域活動支援センターB,C,D型(規模によって分かれている)は、現在59カ所ですが、「川崎市ノーマライゼーションプラン」によってこの5年間,毎年募集を行って応募事業所のなかから4カ所ずつ選定しています。
過去5年間の応募数と選定基準について質問しました。
局長は「H21年度は13件、H22年度10件、H23年度は11件、H24年度は9件、H25年度は9件の応募があった。選定は事業の目的や内容、運営方針、運営法人の健全性等を評価項目として、本市の障害者施策の方向性に合致したものを総合的に判断し選定している。」と答弁しました。
毎年、これだけの応募がありながら毎年4件のみの選定です。障害をもつ方々が住み慣れた地域で住み続けるためには,地域活動支援センターが見近にあることが必要です。年次拡大4カ所ではなく,引き上げることや選定基準の考え方に地域の特性等も加味する柔軟な対応が必要と考えるが見解を質問しました。
局長は「現行の活動状況を検証するとともに,特別支援学校卒業者数の見込みや,通所施設全体の設置状況等ォふまえながら、次期ノーマライゼーションプラン策定の中で,障害者の高齢化やニーズの多様化、地域の特性に対応した地域活動支援センターのあり方について検討してまいりたい」と答えました。
長年にわたり地道に地域で活動し,積極的に応募にチャレンジしている事業所もあります。ニーズの多様化,地域の特性等を加味した選定の基準についても是非検討していただき,障害者の皆さんが地域で交流し、生きがいをもって生活できるために選定か所数を4カ所から拡大することも次期の計画に盛り込んでいただくことを最後に要望しました。