9月1日、代表質疑にたちました。
9月1日、9月議会の初日、子ども子育て支援新制度(以下新制度)が来年4月から始まるにあたって、設置基準や運営基準などを定める市条例案が市長から提案されました。10月から入所などの手続きが始まる関係で,急きょ,議決の必要性があるとして、代表質疑を本会議場で行ったあと、市民委員会の審議と委員会採決が行われました。共産党を代表して私が代表質疑にたちました。
当初、2012年に提出された法案では市町村の保育実施責任をうたった児童福祉法第24条1項が削除されていましたが、「保育の公的責任をなくすな!」という保育関係者や保護者からの批判と要望が大きく広がり、新制度では24条1項が復活し、保育の国や自治体の公的責任は堅持されました。同時に、2項によって小規模保育事業や家庭的保育事業などが認可保育施設として創設され、保育所等に比べて保育者の資格要件などの緩和などが国基準に盛り込まれました。つまり、これまで認可外だった保育事業が、創設された事業(家庭的保育事業等)に移行する事で、認可事業となる仕組みもつくられ、それらの設備や運営の基準条例案が示されました。
〈認可外から認可施設となる〉—認可保育所と同等の基準設定とそのための支援を
国は、職員配置や資格要件などは、自治体が〈従うべき基準〉として,最低基準を示しましたが、同時に、市町村には実施主体としての判断や裁量権があります。新たに認可施設になる家庭的保育事業には、認可保育園の設置基準との格差をなくし保育の平等性を担保する事、現行の基準を下げない事、移行する事業者に対し市が助成を継続し、資格取得支援を充実するよう求めました。
新制度の「家庭的保育事業」等の提案された条例案
この事業はゼロ歳から2歳のこどもが対象です。以下の4種類あります。
①「家庭的保育事業」は定員5人以下、資格要件は、市町村の研修を積んだ保育士又は保育士と同等以上の知識経験を有すると市長が認めるもの(資格要件なしでも可) (現在の保育ママが移行)
②「小規模保育事業」は3つの型があります。
A型は定員6〜19名、保育士有資格者100%
B型は定員6〜19名、保育士有資格者2分の1
C型は定員6〜10名、研修を終了した保育士、又は、保育士と同等以上の
知識経験を有すると市長が認める者(資格要件なしでも可)
③「事業所内保育所」は事業所の従業員枠と地域枠を有する。
④「居宅訪問型保育事業」は、保育を必要とする居宅で行う(定員1人)
障害、疾病などにより集団保育が困難な乳幼児、ひとり親家庭の保護者の夜間及び深夜の勤務従事者の乳幼児が対象。研修を終了した保育士、又は、保育士と同等以上の知識経験を有すると市長が認めるもの(資格要件なしでも可)
上記の市の条例案は国の示す基準どおりです。しかし、神戸市の案は「家庭的保育者は研修終了の保育士、保健師、看護師とする」「小規模保育事業は原則保育士100%のA型で検討している」とのこと。いくつかの政令市も有資格者とし、②のB型についても、4分の3、あるいは3分の2の案を示しています。
藤沢市は「家庭的保育者は実務経験を積んだ保育士」としB型についても「保育士割合を4分の3」とする案とのことです。
上記の下線部分について改善するよう質問しました。
質問と答弁
新制度の①家庭的保育事業か②小規模保育事業のC型に移行することになるのは現行の「家庭保育福祉員=保育ママ」で、従来から保育士、幼稚園教諭、看護師、保健師のいずれかの有資格者です。当然、新事業の①も②のC型についても現行基準を下げずに有資格者とするよう条例で定めるべきと質問しましたが、こども本部長は「条例は国基準」とし「現行を踏まえ、条例とは別に別途詳しく定める」と答弁しました。実際は,現行を踏まえて「要綱」で定めたいとしていますが、要綱はその時の状況で変わる可能性あり、条例で定めることに意義があります。
新制度の小規模保育事業のB型は,国基準どおり「2分の1」の案ですが、内閣府は「よくある質問FAQ」の回答で「資格者割合は2分の1を上回る設定でもよい。」と回答しています。小規模保育事業のB型に移行するのは現行の川崎認定保育所A型とB型等で、A型は保育士割合を今でも3分の2と定めています。また、国は4分の3以上の場合は「保育士比率向上加算」も公定価格にいれるとのことですから、「条例で『4分の3』か『3分の2』と定めるべき」また、川崎認定保育園のB型等の保育士割合を高めるために「使いやすい資格取得支援を充実すべき」と質問しました。
本部長は「保育士確保が容易でない現状があるので割合を高くすると移行に大きな影響が出るので、国基準とし」「最低基準を高める取組を行い、より実情に即した効果的な資格取得支援を市として検討する」と答弁しました。
④の居宅訪問型保育事業は、障害や疾病をもっている乳幼児が対象ですから、看護師等も含む専門的な有資格者とすべきと質問しました。こども本部長は「対象児の特性を踏まえた保育が必要なので、条例とは別に詳しく規定する」と答弁しました。
現行の川崎認定保育園、おなかま保育室、保育ママのなかから基準を満たし、協議が整ったところから新制度に移行になりますが、「現行の運営に対する市の助成を継続すべき」と質問しました。答弁は「当面の間は現行制度を継続する」でした。
私が求めた内容については要綱で別途定めるという回答がほとんどでした。
要綱は、その時の情勢により見直されたりする恐れがあり、要綱の改正は議決なしで行われてしまいます。ここまで回答しているのですから、制度の開始時に、議決が必要な「条例」できちんと定めておく事が必要です。
同時に、認可事業になるのですから、認可保育園と同等の質の確保を担保する事と使いやすい資格取得支援を充実させ、格差をなくす取組を行う事、移行は5年間の猶予がありますので、その間支援策を充実させ、事業者との丁寧な協議を行う事を求めました。
明日は、幼保連携型認定こども園にかんする条例制定の質疑、上乗せ徴収、実費徴収が盛り込まれた事についての質疑を報告します。