このまちで子育て

待機児童ゼロになったと発表されていますが。6月議会代表質問

2015年8月9日

今年4月、川崎市は待機児ゼロになったと発表しました。しかし、これまでもずっと指摘してきたように、厚労省の定義に基づいても、自治体の数え方次第で待機児童は減りもするし、増えもします。6月議会代表質問でとりあげました。

川崎市が待機児にカウントしない項目について,実態を示しカウントすべきと質しました。

●川崎市は、「主に自宅で求職活動を行っている129人」をカウントしません。

国の定義は「保護者が求職活動中の場合については,待機児童に含める事とする」です。このように待機児に含むといいつつ、続けて「調査日時点において、求職活動を休止している事の確認が出来る場合においては待機児童には含めない」と定義に加えました。主に自宅で求職活動していてもカウントすべきと質しましたが、答弁は、「保育を必要とする程度の活動を実施していない者として、含めないこととした」との事ですが、とても曖昧です。

川崎市は、「一時保育で対応している児童108人」もカウントしません。

国は、「一時保育」について、定義に明記していません。一時保育は、認可保育園に併設され週3日を限度とする保護者の就労、病気、入院、冠婚等の場合に預かります。中には、週5日働きたいのに保育所に入所できない為に週3日一時保育にお願いし、土曜日は休みの夫に見てもらっている方もいます。こうした方は待機児童にカウントすべきと質しましたが、一時保育を選択しているからカウントしないとの答弁で、入所できないから結果的に一時保育を選択せざるをえないのに、実態を見ていないと言わざるをえません。

川崎市は「産休・育休中の348人」もカウントしません。

国の定義は「待機児童に含めない事が出来る」「その場合においても市町村が育児休業を延長した者、及び育児休業を切り上げて復職したいもの等のニーズを適切に把握し、引続き利用調整を行なう事」としています。含めない事が出来るという事は基本的には「含める」ということです。実際には入所できなければ復帰できません。本来もっと育児休業をとれるのに、4月1日復帰でないと入所できないと、育休を早く切り上げて復帰する方もいます。4月1日入所できなければ復帰できません。女性が働き続ける為の育休でありながら,入所できなくてもカウントされないというのは改めるべきと質しました。

「市の保育施策で対応している児童数1,347人」もカウントしていません。申込んだ認可保育所に入所できないために、認可外に預けておられる方々は園庭のある保育所に預けたい、乳児の給食を考えて認可保育所に預けたい、お仲間保育室は2歳児までなのでその後の事を考えれば認可保育所に預けたい、この願いは切実です。認定保育園の保育料補助額を増額したこともあって認定保育園を選択しているかたもおられますので、実態に添ってカウントすべきと思います。

第1希望のみ等の申請者数407人もカウントしません。

近隣には1園しかない為第1希望しか書いていない場合に入所できなくてもカウントしないということです。

厚労省の定義も狭い上、自治体によって考え方はまちまちです。自治体によって定義の解釈をさらに狭めたりすれば,見かけ上の待機児童を減らすことが可能になりますが、保護者の実態とはかけはなれたものになります。

私たちは、入所申請して入れない不承諾(今年から保留児とよぶ)児童を待機児とみなすべきと一貫して主張してきました。この間保育ニーズは急増しています。「とても1人だけの収入ではやっていけない、今すぐに働きたい。」「今後、こどもの教育費を考えると働きたい」など、保育所はまさにくらしのセーフティーネットの役割を増す中、今年は初めて就学前児童の3割を超す25,264人が認可保育園に申込みました。昨年より1,764人増えています。今後も増え続けるでしょう。潜在的な保育ニーズにしっかり応える事が必要です。