今決算議会で、川崎市の財政状況を分析した報告です。私たちはここ数年、「川崎は本当に財政が厳しいのか」という事を継続的に研究してきました。その到達にたって、共産党は9月議会の代表質問、決算分科会、決算の代表質疑で2014年度の決算を分析しました。
歳入は、2965億6千万円、前の年より75億7千万円増えて、2年連続の増収となりました。個人市民税が川崎市の人口が増えたことにより、1億8千万円増、法人市民税が企業収益の増加により20億円増、固定資産税が家屋の新増設などにより29億円増えました。
決算では、市税収入が予算より43億円増えました。2019年度以降は、収支不足が解消し、2016年度以降は国から普通交付税を交付しなくてもよくなる、つまり不交付団体になる見込みであるなど財政状況は健全で、「財政が厳しい」という言葉は当てはまらなくなりました。実際、新総合計画素案に「財政が厳しい」という記述はほとんどなくなりました。
川崎市の「減債基金」は2014年度末で1822億円、2015年度末では1963億円、約2000億円に上ります。「減債基金」とは、市債、すなわち市の借金の返済のために積み立てておく基金です。家計でいうと、家を建てたり、おおきな買物などローンをくんで購入するときに銀行から借りたお金の返済のために備えておくものです。
市は毎年市債の返済をおこなった後に、積立てをしていますが、毎年140億円ほどの積み立てをおこなってきているので、今後、10年間では単純に計算すると3500億円たまることになりますが、市の説明でも、最低でも2500億円の積み立て額になると予測されています。
市は、2014年度、減債基金から32億円借り入れました。市は、今後、減債基金からの借入額が、昨年度までの借入額も含め2018年度までに478億円になるとの予測を理由にして、財政が厳しいといっています。しかし、借入れといっても、市のお金であり、銀行から借りるわけではないので、これを理由に「財政が厳しい」という理屈は通りません。事実、市長も、他党への答弁で、減債基金から借り入れても問題がないことを認めています。
国は、市債の発行、すなわち、自治体の借金について、決まりを設けています。実質公債比率といって、自治体の収入に対する借金の返済の割合が、18%を超える場合は、国や県の許可が必要、25%を超えると制限されます。川崎市はどうでしょう。そもそも、借入れではなく、毎年の積み立てを仮にむこう3年間しなかったとしても(約1000億円)実質公債比率は11,2%です。はるかに余裕がある財政状況です。
先ほどお話したように、市税収入が前の年より43億円増えたものの、減債基金から32億円借り入れました。市税収入が増えたのですから、減債基金から借りなくてもよかったともいえます。
私たちは税金の使い方を、自治体本来の役割である住民の福祉の増進に使うべきだし、その財源は十分あることを主張してきました。
他都市では当たり前のように行っている小児医療費助成を中学卒業まで行うことも可能です。認可保育所の整備で待機児解消、少人数学級の実現、特別養護老人ホームの整備を増やし待機者をなくすことも可能です。
自民、公明、民主・みらいは、市長と同じように減債基金からの借入れを理由に、市の財政は厳しい。だから市民の福祉は自助、共助でやり、増え続ける扶助費を削減しろといいます。その一方で400億円もかかる「羽田連絡道路」をオリンピック開催までに整備すべきと主張し、540億円もかかる「臨海道路東扇島水江町線の整備促進など大規模開発優先の市政の実現を主張しています。
しかし、扶助費は「子育て世帯給付金」「臨時福祉給付金」等は国からの給付金でまかなわれ、生活保護費もほとんど国の財源でまかなわれるものです。
中学校給食の質疑でも、羽田連絡道路、国道357号線延伸、市庁舎建替え等大規模事業がこれからあいつぐ事と絡め、「財政見通しや行政改革の方針が示されなければ議案の賛否の判断ができない」『「スクラップ・スクラップ&ビルド」と言っているがスクラップの所が具体的に見えて来ないままセンターの賛否は難しい』というような質問がありました。
副市長は明確に「社会保障関連経費,中学校給食の財源はまず優先して確保するものと考える」と述べ、続けて「その他、大規模事業の財源の見通しはたてている」とも答えました。
言い換えれば、私たちが「川崎はお金がない訳ではない」ということを示した答弁とも言えます。臨海道路東扇島水江町線や羽田空港に行くのに6分短縮する為の羽田連絡道路など不要不急の事業を中止し、子育て、教育、福祉、暮らし最優先の市政を実現することは可能です。