このまちで子育て

「ありのままのあなたでいい」川崎市こども夢パークを訪問

2015年11月9日

PB050799[1]4日の夕暮れどき、子ども夢パークを議員団で訪問、NPO法人「フリースペースたまり場」理事長で、公設民営のこども夢パーク所長の西野博之さんにお話を伺いました。こども夢パークは2000年に全国で先駆けて制定された川崎市子どもの権利条例の「子どもを1人の人間として尊重し、子どもの権利を守り、子どもが自分らしく生きていくことを支える」実践の場として開設されました。

image今年2月川崎でおこった中学1年生が殺害された事件,絶対に忘れてはならない、そして絶対に2度とおこさない取組が求められます。事件の1か月後、東京新聞の取材に西野さんは「上村さんが安心してつかめる手を、差し伸べようとした大人はいたのだろうか」「子どもを絶対に見放さないという大人の覚悟が問われている」「SOS気づける大人に」と述べています。川崎市「中学生死亡事件に係る専門委員会からの提言」に文章を寄せられた西野さんを訪ねお話を伺いました。

まず、夢パークについて、夢パークは冒険遊び場・プレーパークとして、土がひろがり水と木があり、火おこしや、木材等の自然な素材を道具や工具を使って、自由につくっては壊し遊べる場です。子どもたちのやってみたいという気持ちを大切に、失敗してもそれを乗り越える事で自信をつけ、子どもたちが自分で決めたり危険を判断したりできるようになる、まさにこどもが主役の遊び場です。既成の滑り台やジャングルジムなどはおいてありません。子どもたちの発想で木材や木っ端、ロープなどで、上って滑り降りるのも工夫と挑戦、より体を柔軟に使って達成できるよう手作りのダイナミックな遊具がスタッフとこどもによってつくられていますが、頑丈で、一度も事故はおきていないということです。

年間9万人の子どもが遊び、感謝され、自信とおおきな喜びを体得することができる。今回は暗くて見えなかったのですが、以前うかがった時に手作りのターザンロープがありました。スライドで、手作りのウオータースライダーでとことん水遊びやどろんこあそびを満喫している様子をみせていただきました。子どもたちが自己を発散し、友達と共有し、成功も失敗も全てその子の宝物という取組が本当にすばらしいと思いました。

フリースペースえん

夢パークの一角に、不登校や、引きこもり、障がいをもつお子さん等学校に居場所をみつけられない児童生徒が自由に過ごせる「フリースペースえん」のとりくみを聞かせていただきました。えんの開設時間は10時半から18時、いつ来て、いつ帰るか、その日をなにをして過ごすか等、その日のプログラムは自分で決めます。

誰かにやらされるのではなく自分でやるのが基本。私たちが大事にしているのは「やってみたい事にチャレンジする機会」と「安心して失敗出来る環境づくり」。目先にとらわれず長いスパンでこどもの育ちを考え、寄添い続けるまなざしのなかで、一人一人が他者とのつながりを実感し、いろいろが体験を重ね、…自分はここにいていいんだ・・・ひとりじゃないんだ…自分には生きている価値があるんだ、そんなふうに思える自己肯定感や自尊感情を育むことがとても大切であると考えている。そう、自己肯定感や自尊の心を育むことが最も大切と、私も乳幼児の保育のなかで、一番大切にしていたことがよみがえり、とてもうれしくなりました。

そして「生きているだけですごいこと」今の、ありのままのあなたがここにいる。まずここから私たちはスタートしたい。「学びたい」「知りたい」という気持ちは、ありのままの自分が,安心して失敗できる所からうまれるのではないでしょうか」西野さんのことばに、こどもへの、とことんあたたかいまなざしを感じ、本当に共感です。

毎日必ずやることはお昼ご飯をつくってみんなで食べること。貧困の家庭が多く、何かしら食べさせる所が必要ですと。空腹と自己肯定感が育っていないことが共通して言える。みんなでつくって食べるとほんとにおいしい。あとかたづけも自分たちで行ないます。西野さんは子ども食堂が地域の中にあることが必要と、池袋では地域にある空家を区に寄贈してもらい、子どもと一緒に床を張り替えたりして修復し食堂にし、子ども食堂を開いているという取組を教えていただきました。月2回くらいなら食事をつくろうという協力者が現れ、そこからスタートしたということでした。

生活保護家庭の学習支援事業を市から委託されて行なっています。

高校受験にむけて、中学2年と3年生が対象です。スタッフの方と大学生の有償ボランティアさんが一人一人に寄添って学習を支援しています、この取組は貧困の連鎖を断つための事業として各区1カ所(川崎区は2カ所)行なっています。窓越しに外から見せていただきました。みんな生き生きと学習していました。

中1事件に対し、西野さんは「被害者も加害者もださないために」,遊び場がない、子どもの居場所が必要、そしてこどものSOSをキャッチできる感度のいい大人の存在が必要ではないかと言われました。本当にそうです。公園を夢パークのようなプレーパークにして、子どもが遊びを通して大人と関わり、人間関係を育むことが出来る、せめて南部地域にも必要だと思いました。

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11月8日の「こどもゆめ横丁2015」のとりくみ、みんなで横丁の門をつくろうと考えたデザインを見ている私たち

 

 

 

PB050781[1]数日後にひかえて出来上がりつつある門、奥で活動中の子どもの姿がありました。8日は雨天でしたが、決行されたことでしょう。