中原駅の近くにあるNPO法人「ホッとスペース中原」をお訪ねし、代表の佐々木さんから取組を伺いました。介護保険法も障害者支援法もまだなかった1998年10月から、中原キリスト協会の約20坪の礼拝堂を平日開放し活動を始めたとのこと。今では①高齢者部門として訪問介護、通所介護、居宅介護支援事業を、②障害者部門としてグループホーム・ヘルパー派遣事業を、③子育て部門としてふれあい広場、ヘルパー派遣、無料塾を、とまさに、こどもから高齢者、障害者の支援に取組んでおられるとのことです。
そこに貫かれている理念は、一人一人の尊さは障害や年齢、何かが出来るかで来ないかの能力の優劣で評価するのではない、だれもが等しく人格あるゆえに、かけがえのない存在であると言うことに気付いてほしい、分かち合う場をつくりたいとの願いで、この場所を、“ホッと”できる”スペース“と考え命名したとのことです。
デイサービスでは手芸、調理、体操等のなかから自分で活動を選ぶことで、主体的に活動に取り組まれるとのことです。ここは職員の7〜8割が介護福祉士の有資格者とのこと。ヘルパーさんの半分のかたが、介護福祉士の資格を持ち、誇りを持って仕事に打ち込んでいるとのことでした。労働基準法にしっかり準拠した労働環境をつくっていることが、それを支えているとのことでした。地域のボランティアさんと実習生の受入れも積極的に行なっておられるとのことです。
総合事業が来年度から始まることについて、運営事業者側としては介護報酬が低いので地域の小さなところは厳しくなるのではとの懸念があるが、ひとつよかったことがある。それは、総合事業が市の事業なので、川崎市がいくつかの事業所をまわり、こういう単価でどうだろうか、など意見を聞くようになった。とのことです。
今川崎市が進めようとしている地域包括ケアシステムの推進体制や課題についても意見交換させていただきました。一生懸命、崇高な理念を持って取組んでおられることにすばらしいと思いました。
続いて久末デイサービスセンターを訪問しました。
続いて、指定管理者が運営する公設民営の久末デイサービスセンターに伺いました。市営住宅の1階にあり、昨年の4月に指定管理者が奉優会に変わったところです。管理者からお話を伺いました。
介護報酬が代わり、来年度から総合事業が始まることについて影響はありませんか?と聞いてみたところ、影響はあると考えている。ただ、介護報酬が下がったけれど、国が川崎市域の地域単価を横浜市と同じく3等地に引き上げたので、1単位あたりの単価はあがったとのこと。利用者さんの確保がしっかりできて、中重度加算などがとれるかどうかが運営の鍵だとのこと。事業者としては当然そうなるだろうなと思います。要支援の人は減っているとのことです。
良くなった部分として久末のこの地域は坂道が大変多く、お店もなく、買物がしづらく、理美容院にも行きづらい地域で、利用者さんに買物の案内と買物支援、理美容サービスや訪問歯科健診等も出来るようになったこと。
通所の送り出し支援と自宅に送ったあと、家のなかに移動支援を行なったり、投薬支援を行なうことが、可能になり、時間内で出来るようになったとのことでした。通勤の不便さがあるので、人材確保は大変とのこと。地域採用の方針にして、新聞折り込みやポスティングで募集をかけているとのことでした。
管理者の方が、折角だから、併設している他の事業についても,必要なら頼んでみますよと言ってくださり、急遽,対応してくださることになりありがたかったです。
○「ひさすえ地域包括支援センター」のセンター長が対応してくださいました。来年度から、地域包括ケアシステムがはじまることについて伺った所、包括は地域づくりをしていく上で重要な立場であると考えています。市営住宅が多い地域で要支援の予防給付は今でもいっぱいいっぱいで、これから、地域の担い手になっていただける方を、どのように見つけていくのかが課題。子ども世代に介護に関心を持ってもらう活動として、親子を対象に認知症サポーター講座も行った。子どもと高齢者が理解し親しみやすくなる地域をつくっていきたい等とお話しされました。
○そして、もうひとつ併設されている「久末居宅介護支援センター」の責任者の方からお話を伺いました。地域づくりにケアマネも動いていくことになる。地域の生活支援を充実させていきたい。市の総合事業の一環で、買物不便地域なので買物支援のサービスが出来ないかと考えている。ネットで注文を取り届けてあげるサービスを考えているが、地域の協力も考えたい。それには、公園体操等に出かけて地域の方と情報を共有したり顔見知りになることが大切と考えている。とのことです。確かに、このサービスは高齢者のニーズがあるだろうなと思いました。
区に提案型共同事業があるが、そうした事業を活用できれば、有償ボランティアで行なうことが可能になるのではないかと考えている。
とても駆け足でしたが,3つの事業所からお話を伺うことが出来,大変勉強になりました。現場を知ることが一番大切だとつくづく思いました。