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指定管理の公立保育所を企業に対しても無償貸付、安く譲渡する「公私連携保育法人制度」について(質問その3)

2015年12月22日

保育の2点目の質問ですが、質問書と答弁書をアップします。

石田質問

公設民営(指定管理)保育所の民設民営化について質問します

2015年4月施行の改正児童福祉法により『公私連携保育法人制度』が新設されました。これにより、公設民営の指定管理園を株式会社に対しても、土地を無償貸付けし、建物の不動産鑑定評価額の4分の1以上で有償譲渡する計画を示しました。

現在、指定管理保育園として、株式会社3園含めて残る5カ所、6園が、指定管理期間終了時に民設化される計画が示されました。

私たちは、2012,13年度の決算において、急速に本市の認可保育所を多数運営する株式会社2社について、運営費から多額の有価証券取得支出額及び本社への上納金である租税公課額を支出するのが適正か、また、親会社である保育企業グループの関連会社に講師派遣料や調理業務委託料を支払い,資金が本社に還流する仕組みではないかと指摘し、監査の徹底を求めました。

昨年の決算審査特別分科会において、『運営費の使用目的や他の会計等への経費充当が適切であるかを確認し、問題があれば是正を求めて参ります』との理事者の答弁でした。2014年度決算ではその点についてどうだったのか伺います。また先の2社と現在2カ所の指定管理を運営する企業の計3社、及び社会福祉法人について、60名定員の認可保育所運営費に占める平均人件費比率を伺います。

こども本部長答弁

始めに、2社が運営する認可保育所に対する本年度の指導監査についてでございますが、運営費の使用目的や他の会計等への経費充当が適切であるかを確認しておりますが、現在の所問題となる事例は見受けられず、是正を求めた案件はございません。今後の指導監査に置きましても、関係法令や保育所運営費の経理等に関する国の通知等に基づき、引続き確認の作業を行って参ります。

次に60名定員の認可保育所における平成26年度事業活動収入に占める平均人件費比率でございますが、株式会社3社の平均は46,2%、また、社会福祉法人の平均は65,3%となっているところでございます。

石田質問

「子ども子育て支援新制度」では、施設型給付、地域型給付は個人給付であるので、使途制限を設けないとされ、本来の人件費や保育に係る経費が圧縮される懸念があると指摘されています。公費の透明性を確保する観点から、自治体において公費の適正な使われ方を目指す仕組みつくりが必要と考えます。

特定教育・保育の事業の会計をその他の事業の会計と区分することにしているのか、給付費の使途の明確化、施設ごとに経理を区分することと財務諸表の公表について見解と対応を伺います。『記録の整備』として、職員の賃金や教育・保育の提供に際し、締結した委託契約などの関係書類も必要と考えますが伺います。

こども本部長答弁

特定教育・保育施設につきましては、『川崎市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営の基準に関する条例』の規定に基づき、運営法人に対し、認可保育所の経営に係る経費について、区分経理を求めているところでございます。

また、子ども・子育て支援制度の施行下におきましては,いわゆる保育所運営費にあたる委託費には、使途範囲が設けられていることからも、財務諸表等の内容とその公表について,指導監査を実施することにより、引続き確認してまいります。

次に、保育所の運営に係る経費等の記録の整備についてでございますが、その認可保育所における職員、財産、収支及び乳幼児の処遇の状況を明らかにする為に、指導監査において、帳簿等記録を確認するとともに、必要な助言・指導を行ない、適正な運営と利用者保護に努めている所でございます。

次に、公私連携保育法人との協定でございますが、本市においては、指定管理者制度で、運営する保育所の民設民営化に当たり、設置運営法人を公募し、株式会社等が選定された際には、公私連携保育法人として指定する為協定を締結することとしているところでございます。

その際には、これまで指定管理園で実施してきた保育の継続性の担保、第3者評価の受審,法令・条例等の遵守等を条件として参ります。いずれにいたしましても、民設民営化後においても業務の透明性が確保できるよう努めてまいります。

公私連携保育制度についての意見

新制度は、個人給付なので私立保育所以外は使途制限を設けないとされています。さらに公私連携保育制度については、公立の施設や設備を株式会社に譲渡していいのかという問題があります。

憲法89条は公の財産を「公の支配に属しない」事業に対し、支出し、またはその利用に供してはならない」と規定していますが、法学研究者からは、社会福祉法人ならともかく、どうみても「公の支配に属しない」株式会社に、公有財産である公立保育所について、時価よりも安く貸し付けたり、譲渡することは、いかがなものかと指摘されています。

この問題は、引き続き、議論をしていきたいと思います。