川崎市は地域包括ケアシステムの考え方として、子ども、高齢者、障害者を含むすべての住民対象にと対象を広げるとしましたが、富山市が、そうした取組をもう何年も前から行なっていると聞いて、視察しました。しかし、発足含め、歴史的経過と事業内容が川崎市が行なおうとしていることとちがうということがわかりました。
富山型福祉サービスは、今から22年前の平成5年に富山赤十字病院を退職した3人の看護師さんが開所した「デイハウスこのゆびとーまれ」において、赤ちゃんからお年寄りまで、障がいの有る無しに関わらず受入れたことから始まり、のちに富山型といわれるようになったとのことです。
子どもといっしょに、笑ったり、怒ったり、歌をうたったりすることはどんなリハビリよりもよいと、病院や老人ホームでなく、地域でそうした第2の家庭のような場をつくろうと始まった事業です。
しかし、当初は、高齢者は老人福祉法、障害者は身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、障害児は児童福祉法の各法律の施設の設備や人員の基準が定められていたことから、行政からの支援はなく、手弁当でスタートしたとのこと。
平成8年度から、市単独の在宅障害児の一時預かり事業を受託、平成9年度から高齢者のデイケアサービスへの補助金の交付が実現。平成12年度から介護保険制度がスタートし、高齢者のデイサービス事業所としての指定を受けたことで、経営が安定した。
平成15年度に、国の構造改革特区に「富山型デイサービス事業」が認定され、介護保険上の指定通所介護事業所などでの知的障害者、障害児のデイサービスの利用が可能となった。
平成27年4月現在、基準に該当する富山型障害福祉サービス事業所は市内47カ所とのことです。
ここでは、障害の有る無しに関わらず、高齢者も、こどももだれでも受入れられる施設でありたい。むりやりレクレーションをやるのでなく、日常の生活の営みを行なう場。みんなが集まるのが富山型とのことです。
担当の係長は、富山型デイサービスのメリットは、子どもとふれあうことで高齢者や障害者に日常生活の改善や会話の促進が図られる。お年寄りや障害者等他人への思いやりや優しさが身に付く成長面が児童にみられる。地域住民の様々な相談に応じるなど福祉拠点となることがあげられる。一方、デメリットもある。高齢者と身体障害者、知的障害者、心身障害児が同時にサービスを受けることになるので、障害特性に応じた処遇が確保されるか不安があることだということです。障害児者の中には、障害福祉サービスに特化したサービスを利用する人もいるとのことです。メリットも、デメリットももっともです。
川崎の現状から言えば、高齢者施策、障害者・児の施策、子どもの施策はそれぞれ量と質の拡充、新たなニーズへの対応策が必要となっています。メリットとしてあげられている効果を生み出すには、交流し合うということになるでしょうか。
今回、金沢市と富山市を視察させていただきました。私は、高齢者の施策で言えば、川崎市は、金沢方式のような取組をもっと組織的に力をいれていくべきと思います。医療と介護が必要な方が在宅で暮らし続ける為には、利用者と家族の支援チームを作り、ケアマネ–ジャーが訪問介護や通所、訪問看護等、必要なサービスのコーディネートを行なうことが如何しても必要と考えます。
川崎市が、今般うちだした地域包括ケアシステムは、2014年のいわゆる「医療・介護総合確保法」の改定では、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自立した生活が出来るよう、医療と介護、介護予防、日常生活支援等が包括的に確保される体制をつくろうという高齢者を対象としてうちだされたものから、その対象を高齢者や、障害者、子どもを始め、すべての地域住民とするとして、地域住民が互いに助け合う互助と言う考え方をしめしたものです。
保健師が、エリア内の地域にこれまで以上に積極的に出かけるのはよいことです。大切なのは、個別支援を強めることとそのための職員配置体制をしっかりとることです。そして高齢者で言えば地域包括支援センターやケアマネがいる居宅介護支援事業所があり、障害者相談支援センターが地域の障害者の相談に乗り、子どもは地域子育て支援センターや新たな公立保育所や子ども文化センターが、それぞれ専門的な役割を担っていますから、それらのより充実が大切ですし、連携が必要と考えます。
同時に、「児童家庭相談サポート」担当は体制として、存続・継続すべきです。先日もやけどをさせて放置して虐待死させた残虐な事件がありました。乳幼児健診の未実施、110番情報の関係機関との連絡、連携など、救えるタイミングがあったのに、凄惨な虐待死事件が起きてしまった。このようなことが決してないようにするには、児童家庭相談サポート体制は、体制として残すべきと考えます。
予算議会であらためてとりあげていきたいと思います。