9月29日文教委員会の決算分科会で教育委員会に質問しました.以下少し省略部分もありますが報告します。
●教員の欠員の解消について
【石田質問1】
教員の欠員が多数生じている問題について,昨年度と比較して質問しました。
答弁内容を表にしました。
小学校 中学校 高等学校 特別支援学校 合計
2015年度 81名 136名 36名 71名 324名
2016年度 124名 114名 40名 65名 343名
【石田質問2】今年の欠員が増えた.募集計画はどうなっているのか質問
昨年度よりさらに19人増えました。これまでわが党の市古議員の質問に対し、「欠員の縮減に努めて参りたい」という答弁が毎年、繰り返されたのに、さらに増えてしまったのはどういうことでしょうか.特に小学校の欠員が43人も増え、また、3桁になりました。高等学校では定数393人に対し、欠員が40人にのぼり、特別支援学校では定数311人に対し65人、21%にも上ります。先の3月議会で、市古議員が、2015年度の欠員が2010年度の1,7倍になっていること、それは、①採用試験の受験者数が小中学校で前年度より167人減ったこと、②合格者数が中学校では34人減ったこと。さらに、③採用を辞退する人が小学校で57人もあったこと等を明らかにして、欠員解消の取組みを厳しく指摘し、改善を強く求めました。
〈そこで伺いますが〉、募集人数は、定年退職者数は明確ですからその補充と、それ以外の退職者のこの間の動向を鑑みること、及び現在の欠員をなくすだけの募集計画になっているのか具体的に伺います。
【教職員課課長答弁2】教員の欠員縮減についての御質問でございますが、平成28年度の教員採用候補者選考試験における募集人員につきましては、定年退職予定者数と、それ 以外の退職者見込み数との合計人数を上回るように設定しており、新規採用者と併せて、定年退職者の再任用を見込むことによって、現在の欠員を一定程度縮減できるものと考えております。
【石田意見・要望】一定程度の縮減では、とても納得できません
採用辞退のみこみ、定年以外の退職者の動向をしっかりした予測をたてなければ、また予想以上にこうした方々が増えてしまい、欠員が増えてしまうことになりかねません.新規採用者の獲得、定年退職者の再任用含めて全力を尽くすことを強く求め、今後もしっかり注視していきます。
●県費移管について
【石田質問3】県費移管についてこの間の取組を質問
定数内欠員の解消のためには、教育への熱い志を持った人を、川崎の学校にきてもらうような、教育環境と処遇の改善に取り組むことが重要です。
来年度から、県費負担教職員の給与費が都道府県から政令市に移管されます。あわせて、学級編成基準、教職員定数の設定基準等も市に権限が委譲されます。
そのため2014年度から教育委員会に「県費教職員移管準備担当」が設置されました。 移譲される内容に付いて、2015年度中の取組とこれまでの検討状況を伺います。
【担当課長答弁3】これまでの取組状況についての御質問でございますが、 具体的には、政令市が初めて行うことどなる教職員定数や国庫負担金に関する事務、勤務条件制度に係る 関係部局や職員団体との調整、人事・給与システム、職員情報システムの改修などを進めてまいりました。
教職員定数事務等につきましては、現在、文部科学省からの実施依頼に基づき、神奈川県の協力を得ながら、シミュレーションを行っており、II月中の関係調書の提 出に向けて、鋭意、作業を進めているところでございまして、
その後、同省が確認を行い、本市に回答がなされる予定となっております。教職員定数等の権限移譲に際しては、文部科学省から「制度改正の前後で学校現場に大きな混乱が生じないよう留意する必要がある。」とされておりますので、こうした留意事項等を踏まえながら、権限移譲時の対応について検討を進めているところでございます。
また、勤務条件につきましては、本市の制度に合わせることを基本としながらも、義務教育諸学校における勤務の特殊性を踏まえた制度の整備や、一部の手当については経過措置を講ずる等の調整を図ることとし、本年6月に、川崎教職員組合と大綱合意いたしました。
現在は、条例・規則等の整備や関係部局と運用上の調整を図るとともに、人事・給与システム、職員情報システム等の改修等、平成29年4月の円滑な移管に向けて作業を進めているところでございます。
【石田質問4】教員の勤務条件は「教育公務員特例法」に基づくのではと質問
教員については、「公務員のうち教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基づき、教育公務員の任免、給与、研修などについて規定した法律」いわゆる「教育公務員特例法」に基づきます。勤務条件について、先ほど「本市の制度に合わせることを基本としながらも、義務教育諸学校における勤務の特殊性を踏まえた制度の整備をはかる」と答弁されました。よってたつ法律に基づく勤務条件は、この「教育公務員特例法」に基づくと考えますが伺います。
【担当課長答弁4】教員の勤務条件についてのご質問でございますが、教育公務員を含めた、地方公務員の給与等の勤務条件につきましては、地方公務員法による職務給の原則、均 衡の原則、情勢適応の原則などに基づいて、条例で定めることとされており、さらに、教員公務員につきまして は、教育公務員の職務と責任の特殊性に鑑み、教育公務員特例法等に基づき、条例等で別途、措置しているところでございます。
【石田質問5】県費移管に対する教育長の決意を質問
勤務条件についてですが、学校現場の多忙化が指摘されて久しく なっています。現場では、こどもと向き合う時間を確保するため、休憩時間も取れずに業務を行なっている実態があると聞きます。 昨年度は新任教員を含め定年以外の退職者が想定を上回りまし た。教員全体の休職者75名のうち、精神疾患は54名に上るとい われています。教育水準を確保するには、教職員が健康で生き生きとした状態の中で、教育の職務を遂行する必要があります。
2014年7月23日の総務委員会において、当時の職員部長は「権限委譲のメリットを十分生かせる形にしなければ移管の意味が乏しくなる。教育委員会あげて、これまでと同様、あるいはそれ以上の教育環境を整えるような努力をしてまいりたい」と答えられました。
また教育長は 決意を問われ「少なくても現状よりもよい状態をつくるように努力をしていこうと庁内で話し合っている。現場の先生方や、子どもたち、保護者の方が、この移譲があってよかったと思われるような制度設計をしていかなければいけないと思っております」と答弁されています。この決意は変わらないと受け止めていいのか教育長に伺います。
【教育長答弁5】県費負担教職員の市費移管につきましては、給与負担者が県から本市に変わることと併せて、学校の設置者で ある本市みずからが定数配置等の判断をできるようになることから、より一層、本市の学校の実情に即した教職員配置や学校運営が可能になるものと考えております。教育委員会といたしましては、教育水準のさらなる向上に向けて努力しながら、現場の先生方や子どもたち、保護者の方々が、この移管があってよかったと思われるようにしていくことが必要であるとの考えに変わりはございません。
【石田質問6】勤務条件が県と比較して不利にならないようにと質問
教育長の決意を伺いました。また、教員の勤務条件等については「教育公務員特例去1 に基づいていることをさきほど確認しました。
それ以外にも、教員の勤務条件は、教育職員の職務と勤務態様の特殊性に着目して、さまざま特例法により特例が認められているところです。しかし、先般いただいた資料「給与・勤務条件等の制度について」の中の「制度整備の基本方針」には、「市の制度に 統合することを基本とする。」とだけありますが、この表現では、あたかも「市の行政職の勤務条件や給与にあわせる。」と言つているようにも聞こえます。
また、一部の 勤務条件に、県と比較して不利となるものも見受けられます。
教職員の給与及び勤務条件については、「教育職員の職務と 勤務態様の特殊性」に配慮して、より柔軟に規定すべきと考えますが、伺います。
【担当課長答弁6】県費負担教職員の市費移管に伴う勤務条件についての御質問でございますが、移管後の勤務条件につきましては、本市の制度に合わせることを基本として調整してまいりました。これは、従来から市費職員である市立高等学校の教員の勤務条件制度や義務教育諸学校における教員の職務と勤務の特殊性を踏まえたものとなっております。
県と市の制度の違いなどにより、勤務条件に若干の差 異は生じるところではございますが、全体として大きな変動が生じないよう、充分な調整を図っており、移管後も教員の職務と勤務の特殊性などを踏まえ、必要に応じて協議・検討を進めてまいりたいと考えております。
【石田意見要望】
基本方針の「市の制度に統合することを基本とする」とは、行政職の勤務条件に合わせるということではなく、従来からの市立高等学校の教員の勤務条件制度や、「教育公務員特例法」にのっとった義務教育諸学校における教員の職務と勤務の特殊性をふまえたものとのことです。だとするならば、基本方針に、先ほどの教育長の決意や「本市の教職員固有の職務や勤務態様の特殊性を考慮し整備する」など、端的に表記することを求めておきます。勤務条件について、移管後も必要に応じて協議・検討を進めるとのことです。教職員は昼休みも残業手当もありません。文科省が昨年7月に公表した教職員の勤務実態に関する初の全国調査では、子育て教職員の育児と仕事の両立は「もう限界」と退職する女性教員が多くなっている取材記事が報じられていました。「十分な調整を図っており」との答弁でしたが、住居手当の減額は、地方からの若手教員の確保の上でマイナス要件になりますし、年次休暇の時間休制度も教員の特殊性から、児童を帰宅させてから、時間休をとって、子どもを病院に連れて行くことができたなどと、従来の「時間単位の制限なし」の継続を求める声があると聞いています。今後、是非協議・検討を進めていただくことを要望しておきます。
【石田質問7】県から移譲される財源について質問
個人住民税所得割2%分が県から移譲されますが,今後の収支フレームにおける2%に相当する額は、今年の3月議会において、財政局長が、市古議員に答弁されました。「今後の収支フレーム」では、個人住民税所得割2%の額は漸増傾向にあり、政令市移管初年度の来年度は川崎市負担分を上回り、その後も増収傾向にあると考えますが伺います。
【担当課長答弁7】県費負担教職員の市費移管に伴う財源についての御質問でございますが、現時点で把握している個人市民税見込み額のうち2%に相当する額につきましては、平成29年度は397億円、平 成30年度は407意円、平成31年度は412億円、平成32年度は417億円でございます。 また、県費負担教職員給与費につきましては、神奈川県の平成24年度決算をもとにした試算によりますと、全体で約520億円となっておりましたが、平成28年度現在で は平成24年度に比べると、児童生徒数や教職員数が増加していること、また、この間、給与の増額改定もあった ことなどから、給与費総額は平成24年度決算に基づく試 算から増加するものと見込まれており、引き続き財源確保に向けた取り組みが必要であると考えております。
【石田最後に意見要望】移管を機会に少人数学級の拡大を!
給与費総額は平成24年度決算に基づく試算からは増加するものと見込まれ、引続き財源確保にむけた取組が必要とのことです。全力を挙げて財源確保に取組むとことを強く要望します.しかし、個人市民税所得割2%相当額は,漸増傾向でその後も間違いなく増収傾向にあります.川崎市の財政は厳しいとはいえない財政状況です.教育長は、さきほども「現場の先生方やこどもたち、保護者の方々が、この移管があってよかったと思われるように していくことが必要」と決意を述べられました。是非、移管を機会に先生方やこどもたちのために、川崎市独自の少人数学級 の拡大を保障する教職員定数の独自拡大等前進させることを強く求めて質問を終わります。