川崎の労働者は、2012年度までの15年間で、正規労働者の比率は減って、非正規労働者が急増して、3人に一人、人数では2倍になっています。年収200万円以下の労働者が4人に一人、年収100万円から199万円の階層は約2倍になるなど急激に所得が低下しています。
私たちは、先の議会で、1万5千人の正規雇用拡大を掲げている東京都は、正規雇用等転換促進支援事業の対象規模を4倍に、予算規模も5倍に拡大している取り組みを上げ、自治体としての取り組みが必要と求めました.
一方、川崎市は「キャリアサポートかわさき」をはじめとする就業マッチングで対応することに終始しています。今回、鳥取県が正規雇用を促進する取り組みを行なっているとのことで、市議団は視察に行きました。
12月1日、代表質問を議会局に提出後、飛行機で鳥取県へ。ぎりぎり予定された15時に間に合い、鳥取県が行なっている「未来人材育成奨学金支援事業」「正規雇用1万人チャレンジ計画」について、鳥取県庁で説明を受けました。
「未来人材育成奨学金支援事業」は、県と産業界が協力して基金を設置し、県内に就職する大学生等の奨学金返還を助成し、産業人材の確保、Uターンを促進する目的でつくられた制度で、2015年4月に国が制定した「奨学金を活用した大学生等の地方定着促進事業」を受けて、同年9月1日からスタートしたとのことです。
昨年度の基金は、県負担1億3千万円、特別交付税5千万円、民間の寄付金2千万円で2億円造成、180人の募集に対し100人の申請、今年度は現時点で60人の申請。うち、県内の就職者数は計60人とのことです。定着条件は8年間の就業の継続で地元鳥取に帰る人もいて、助成金の効果があるとの説明でした。
正規雇用1万人チャレンジ計画
全国的にも正規雇用が減り、非正規雇用が増大している中で、鳥取県は2015年度から4年間で1万人の正規雇用を創出しようと「正規雇用1万人チャレンジ計画」を実施しています。県内の高校や大学と協力して県内の就職状況や、正規、非正規雇用の実態調査を行ない、その調査結果をもとに対策を打ち出しました。正規雇用拡大のためには中小企業への助成が必要として「正規雇用創出奨励金」を創設し、正規雇用を増やした企業に対し奨励金を助成しています。こうした対策が是非とも必要と思います。
スーパーはくとで神戸市に移動し、19時半から21時まで、「神戸国際フロンティアメディカルセンターの破綻について」「異物混入で停止した中学校給食について」を神戸保険医協会の医師と共産党神戸市会議員団から説明をしていただきました。
神戸医療産業都市構想について
神戸市立市民病院と先端医療センターの統合を含む神戸医療産業都市関連事業に、国、県合わせ3400億円もの予算を投じ、基盤整備を行ってきました。そもそもは阪神淡路大震災の復興事業として始められた構想です。神戸市は、災害拠点病院である中央市民病院を海岸沿いに移転し県立子ども病院までポートアイランドへ誘地しました。
医療産業都市構想によって、多くの医療関連施設が集積し、様々な研究が行われていますが、ここで進められていることは、混合医療の拡大で医療に格差がもち込まれる問題があります。お金持ち相手の格差医療が広がるとして、混合診療拡大の問題点は、①倫理的不公正(富裕層しか受けられない医療が増える)②医学的不公正(有効性と安全性に乏しい医療が横行する)③経済的不公正(低所得者の税金や保険料が富裕層の混合診療に使われる)と説明してくださいました。
2つ目の問題として、公的資金の大規模な投入で市民生活に密着した自治体の事業が後回しになっている。 3つ目として、医療ツーリズムで地域医療資源が外国の富裕層のために使われ、地域医療にしわよせがうまれている。4つ目として地域医療資源が実験医療に使われ、地域医療にしわ寄せが生じている。5つ目として、医療分野での研究開発を急ぐあまり、医療事故が隠蔽されるおそれをあげています。
2014年11月に開院した神戸国際フロンティアメディカルセンター病院、いわゆるKIFMECは、生体肝移植の手術後に患者が死亡する事例があいつぎ2016年3月に破産しました。
中央市民病院の移転の問題点として、医療の国際展開を急ぐあまり、国内の患者さん向けの医療がおろそかになってしまうことを指摘しています。移転によって病床数が912床から700床に減りました。市民病院で臨床研究に力を入れるあまり、現在担っている地域医療における役割がないがしろになってしまうことを指摘しています。
川崎で進めるライフイノベーション事業も神戸市のようになるのではと、大変危惧するところです。聞き取りが終わったのは午後9時、1日目の視察が終わりました。やっと夕食の時間です。空腹感も頂点をすぎるとさほど感じなくなるから不思議です。明日は、神戸から東海道線と北陸本線に乗り換えて滋賀県長浜市に行きます。