議会活動報告

12月8日の代表質問で障害者差別解消法に基づく取組について質問しました

2016年12月24日

代表質問には勝又議員がたちました。

【質問】以下全文です。
はじめに健康福祉局長に伺います。
障害者差別解消法に基づき、本市は不当な差別の禁止や合理的配慮の提供を行うための基本的な考え方や具体例等を定める、職員の服務規律の一つとなる対応要領を策定しました。「監督者の責務」として、「障害者等から合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認し、確認された場合は合理的配慮を適切に行なうよう指導すること」「障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には迅速かつ適切に対処しなければならない」としています。
また相談体制の整備として、「相談窓口は相談対象業務の所管課におき、寄せられた相談等は総務企画局人事部人事課に集約し、健康福祉局障害保健福祉部障害計画課と情報共有を図り、以後の相談等に活用すること」としています。

①施行以来、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情があれば件数と内容及び対応を伺います。 ②監督者が状況を確認し指導した事例についても伺います。 ③窓口に相談があった所管局と情報共有を図り対応した事例についてもうかがいます。
④法律を受けて、条例を制定する自治体が増えていますが、市民や障害者団体から本市も条例を策定してほしいという意見要望が届いている状況を伺います。

私たちが視察した新潟市では「障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例」を4月に施行し、市民に対し、概要パンフレットで「条例のめざす社会」「障害を理由とした差別の禁止」「具体的な事例」「市民の理解の促進」「相談体制と助言・あっせん、勧告、公表の仕組み」を分かりやすく示し周知しています。島根県松江市も条例を10月から施行し、「職員対応要領」をカラーパンフレットにして、市民にも公開しています。このなかでは、障がいの種別によって障がいの特徴や対応する際の留意点がわかりやすく示され、チェックリストも掲載されています。⑤本市も概要パンフレットをつくり、市民に広く周知すべきと考えますが伺います。

次に交通局長に伺います(車いすの方への市バスの対応について)
具体的に伺いますが、私たちに寄せられている声として、車いすで移動される方が、市営バスに乗ったときに固定ベルトをしてくれない運転手がいた。輪留めだけで良いかと言われ、危なくてこわいけれど、他の乗客に遠慮してうなずいてしまった。「遅いな」と文句を言われた。停車位置がばらばらで、歩道に行くまでに段差があるところに降ろされることがある等の実態や、運転手の乗客への配慮のあるアナウンスがあると障害のある人もない人も共に暮らすやさしい町になると思う。などの意見がよせられています。

車いすの方の乗車内の安心安全の確保については、全ての運転手の合理的配慮がなされなければならないと考えます。交通局長の見解と対応を伺います。
特に実地を含む研修を施行前より増やし、差別解消法と対応要領、乗務員ハンドブックの内容を全ての運転手に徹底すべきと考えますが伺います。

◆健康福祉局長の答弁(概要)
相談苦情は7件〉
本年4月1日からの法の施行以降、庁内の関係部署に寄せられた相談、苦情件数は7件です。本市に対しては「本市と事業者で共催しているシンポジュームの申込方法がハガキによる応募のみであり、手話通訳がおらず配慮が足りない」というご意見や、市営バスの運転手の車いす利用者等に対する対応についての相談が3件、その後、対応について不適切であったことが確認されたため、職員に指導を行なった旨の報告を受けている。
民間事業者に対しては、金融機関における口座開設での不適切な対応の他、2件の報告を受けた.監督者が状況を確認し、指導した事例及び相談があった所管局と情報共有を図り対応した事例は現在のところない。
〈複数の団体から条例策定への要望があった〉
条例策定については複数の障害者団体から要望を頂いており、川崎市障害者施策審議会においても委員からご意見を頂いている状況がある。
〈リーフレットを作成し区役所等に配布した〉
パンフレットの作成について、今エンドは市民の方々への啓発・周知のため、障害者差別解消法の概要が記載されているリーフレットやポスターを作成し、各区役所や市民館等に配布した所.今後についても法について広く市民に関心を持っていただくことは大変重要なことですので引続き効果的な手法を通じ周知に努めて参る。

交通局長の答弁(概要)
市バスではお客様の安全の確保を最優先とし、車いすを利用されるお客様については構造上固定出来ない車いすを除き、固定ベルトの装着を運転手が行なうよう指導し、輪留めによる固定は禁止している。
車いす利用のお客様が利用しやすいよう固定時間の短縮を図るため、本年4月に巻き取り式の固定ベルトを全車両に導入するとともに、装着の研修を全運転手に実施した。

車いす利用のお客様の乗車時には、固定場所をお譲り頂く等、他のお客様のご理解とご協力も必要なことから、バス車内にご協力をお願いするポスターを掲出するとともに、これまで運転手が行なっていたご協力のお願いに加え、バス停間に放送する機械放送にもご協力のお願いを導入した。

バス停の停車位置について、道路形態や駐車車両の影響などもあり、やむを得ず停車位置が異なる場合もあるが、車いすのお客様が安全に乗降出来るよう、点呼などの際に指導を行なっている.車いす固定ベルト装着の研修については、非常用具・車いすなど取扱講習で実技を含めた指導を行なっており、さらに法令講習会や事故防止研修などにおいても指導を実施し、車いすの固定が円滑にできるよう努めている。

法が4月に施行されたことから法令講習会において差別的な取扱の禁止や合理的な配慮の事例について、説明しグループワークなどにおいても理解が深まるよう努めている。

応接については運転手に携行を義務づけている「自動車運転手ハンドブック」に明記し周知に努めるとともに、運転技能コンクールにおいて「車いすの応接」を競技に取り入れ、運転手の意識向上を図っている。

なお、運転手が固定ベルトを装着しないなど、不適切な対応がドライブレコーダー等により確認された場合には、昇級や勤勉手当等の給与に影響を与える事がある「職務改善命令書」を発令する等、徹底した取組を実施しているところです。

質問して感じたこと
健康福祉局長は、市民の相談、苦情があった「市バス運転手の車いす対応について」その後不適切であったことが確認されたため職員に指導を行なった旨の報告を受けている」と答弁し、一方で「監督者が状況を確認し指導した事例、及び相談があった所管局と情報共有を図り対応した事例は現在のところない」という答弁は矛盾していると感じましたし、健康福祉局が事後報告を受けるだけでよいのかという感をもちました。この法律の、障害を理由とした差別をなくし、合理的配慮の不提供をなくして、障害のある人もない人も共に暮らす社会をめざす上で、健康福祉局の果たす役割は大きいと思います。各局と連携しながら熱意を持って推進のために取組んでもらいたいと思います。

交通局長もさまざまな取組を実施していると答えましたが、問題は現場において全ての運転手さんが心から丁寧な対応をすることが求められていると思います.そこをしっかり見てもらいたいと思います。そのためには命を守る運転業務ですから、労働環境を良くしていくことも大切なことだと思います。