6月4日中原区の障がい児者を支援している事業所を市議団として2ヶ所訪問しました。
はじめに障がい児と家庭への様々なサポートを行っている特定非営利活動法人の事業所に伺いました。
川崎市の障がいを持つ児童への支援は、
●保護者の就労や病気により付き添うことができないとき、通学や通所の移動を支援するなどの移動支援事業。
●相談や話し相手、見守りなどの支援、小学校入学後6ヶ月以内の障碍児を持つ保護者で継続的な支援が必要な場合に保護者に対する養育の支援を行うファミリーサポート、日常生活の家事支援など生活をサポートする事業。
●日常生活における基本動作を習得し、集団生活に適応することができるよう個別療育や集団での療育を行う児童デイサービス。
●就学前児童から小学生対象に日常生活における基本動作を習得し、集団生活に適応することができるよう適切な指導及び訓練を行うとともに、一時的な預かりをする一時預かり事業。
●障碍のある中高生の放課後や夏休みなどに活動する場を提供し、遊びやグループ活動を通して豊かな放課後を過ごせるよう支援する障がい児タイムケア事業などがあります。
個々に必要なメニューを組み合わせてスタッフをコーディネート
実態は、事業所のスタッフの献身によって支えられています。障がいの特徴・内容や家庭状況が様々な中、個々にあった必要な支援は、いろいろ組み合わせて行っているが、スタッフのコーディネートが本当に大変とのことです。
そしてメニューによって使える時間や内容がちがい、実態からすればもっと時間やサポート内容を改善してほしいことたくさんある。また利用料、報酬単価がそれぞれちがうために、請求コードの計算が複雑多岐にわたっているので、事務の簡素化、改善を市のほうでしてほしいなどの意見がありました。
報酬単価の増額と助成の拡充を
また人件費と家賃の支払いに最も苦労しているとのことです。自立支援法による報酬単価が低いことと市の事業にたいする単価や助成がもっと必要と思います。常勤とその他のスタッフはあわせて23人で、本当にいろいろな方に参加してもらっているとのことですが、常勤者は1日12時間勤務で月28日は働いているとのことです。
こうしたスタッフや事業所に支えられて川崎市の障がい児への支援が成り立っていることからすれば、もっと予算の増額が必要です。そうでないと後継者が育たない、事業の継続に不安がある。それこそ持続可能な障がい児者施策をおこなうためには、抜本的な市や国の事業所支援の充実が必要です。
利用料について
そして、こうしたサービスの利用料は被生活保護世帯いがいは有料です。1割負担であったり、時間単価の3%や5%であったりします。自立支援法は、重度の方ほど負担が重くなる応益負担を押し付ける矛盾だらけの法律です。障がい者や家族、支援団体の粘り強い運動で、世論と政治を動かし、成人の場合、低所得者について利用料は無料になりました。自治体独自の移動支援や舗装具等の生活支援事業の利用料も低所得者について無料にすべきと、先の3月予算議会で共産党市議団は取り組みましたが、4月から無料になりました。
児童の場合は親の収入が基準に
しかし、児童の場合は親の収入が基準になるので、通学支援〔学校の送り迎え〕、日中一時支援もしくはタイムケアなどを使った場合、月の利用料は3万円をこす人もいるとのことです。また、情報が届かない家庭、区役所に行ってもお子さんや家庭の状態や支援の要求を主張できない保護者のかたもいて、そうした方がたへのきめ細かい支援が求められているとのことでした。
児童の成長発達の権利保障を=児童福祉法の立場に立って無料に
児童には障害者自立支援法はなじみません。
すべての児童の成長発達の権利を保障するのが児童福祉法の立場です。その立場に立って、障がい児への支援は原則無料にしていくべきだと、改めて強く思いました。
次におかし工房を訪ねました
2ヶ所目は,障害をもつ方がたがスタッフに支えられながら、パンやクッキー、ロールケーキなどをつくるおかし工房を訪問しました。売り場をご近所の方のご厚意で、商店街の一角にきれいなお店をかまえたばかりとのことでした。
味がとてもおいしいとのことで、何人もの方がたが買いにきていました。障がい者のみなさんが本当に喜んでスタッフに支えられながら働いている様子を見て、障がいを持った人達がその人らしく働くことができ、喜びを感じ、ほこりをもって生活できるように支援することが本当に大切だなと感じました。
ここも運営は本当に大変とのことで、実態やご意見を聞きました。ここでも自立支援法の矛盾を感じました。
障害者自立支援法廃止に関して
障害者との合意を破る自立支援法の延命は許されない
民主党政権は昨年の総選挙で障害者自立支援法の廃止を公約し、障害者らが提訴していた同法の違憲訴訟でも当事者の声を十分に聞いた新しい総合的福祉法制を、遅くても2013年8月までにつくるとの合意を原告・弁護団と結びました。現在、内閣府におかれた「障害者制度改革推進会議」では、当事者参加の元で同法に変わる新しい法律づくりや、新しい法律制定までの当面の課題などの議論が進められているとのことです。ところがそうした動きをまったく無視し、自公両党が議員立法で今国会に提案した障害者自立支援法一部改定案に民主党が乗る形で法案内容をすり合わせしているとのことです。
法案は、応益負担を効能負担にするといいながら、自立支援医療に関しては応益負担とする仕組みは残し、障害者の範囲に難病を含むことも抜けているとのこと。民主党は新法ができるまでの「つなぎ法案」だとしているようですが、すりあわせた法案には、時限立法であることや13年8月までの自立支援法の廃止は明記されていないということです。
関係団体は抗議声明を発表しましたが、延命は許されないことです。障害者自立支援法を廃止し、当事者参加で人間らしく生きるための新たな法制度をつくることが求められていると思います。