川崎市は2015年度に学校図書館に学校司書配置モデル事業を始め、現在21の小学校に学校司書を配置しています。このほど、モデル実施校を検証し、「学校司書を配置した学校の一人当たりの年間図書貸し出し数が、未配置校より1,7倍に増えているほか、調べ学習や授業支援など、日常的に学校図書館の活用が図られた」としました。
2015年10月「専任、専門、かつ常勤の学校司書を計画的に配置する事」を求めた請願審査は全会一致で採択です。22日、川崎の学校司書配置事業の充実を求め質問しました。なお、2016年度の学校司書配置の決算額は、633万7千円、総括学校司書配置の決算額は2133万7千円です。
【石田質問】全小学校配置に向けてのスケジュール、中学校への配置について
①「学校司書」配置モデル校において効果が認められ、代表質問の答弁では、今後、小学校全校配置にむけて、関係局とも調整を図りながら検討を進めているとのことです。スケジュールについて伺います。
②次に、「総括学校司書」は、司書等の有資格者による非常勤職員が、現在、各区3名で区内小中学校の「司書教諭や学校司書の支援」「学校図書館に関する助言又は提言」を行っています。中学校においても「学校図書館に常に司書がいる事を検討する」ことが必要と思いますが、中学校における今後の方向性を伺います。
【学校教育部担当課長の答弁要旨】
① については、本格事業への移行に当たりましては、関係局とも協議しながら全校配置にむけて検討を進めているところです。
② については、今後につきまして、現在の取組を続けていきながら、総括学校司書のあり方についても検討を進めて行きたいと考えている。
【石田、この答弁への要望】横浜市は2013年度から4年目の16年度に、小、中,特別支援学校全500校に学校司書を配置しました。本市も来年度からの第2期実施計画期間の早期に具体化することを要望しました。
【石田質問】常勤を求めるが、せめて、非常勤にすべきです
本市の学校司書の身分や勤務要件について改善する必要があると思います。勤務時間1回3時間、年150回で総時間数は450時間、報償費が1回3時間で3000円、年額にすると45万円です。
横浜市との差は歴然、横浜市は1日6時間以内・週5日勤務、年175回で総時間数は1,015時間、非常勤特別職員で、報酬は時給1,100円、年額111万6500円です。本市の年間の勤務時間数は横浜市の半分以下、支払われるのも「報償費」です。
横浜市のホームページには、学校司書の活動と担当教諭の言葉が紹介されています。担当教諭は「教員が授業を組み立てる上で調べ学習や関連図書の紹介についてもよくアドバイスしてくれ、学校内の縁の下の力持ちだ」「司書が本の専門家として授業に参加する事で、子どもたちが意欲的に授業に取組む姿勢を作るきっかけになった」「担任だけでは、授業に使用したい本のピックアップや資料の準備がなかなか行き届かないことがあるが、学校司書がいると、図書館やその他の情報ツールを活用した授業展開もでき、学習活動の幅が広がった」など、学校司書が直接教員の相談にのり、授業にも参加するなど、授業支援に果たす役割が大きいことがのべられています。 これは、横浜市が1日6時間、週5日の勤務時間だからこそ可能だと思います。
本市の小、中全校に、非常勤職員で学校司書を配置した場合の経費について、2015年10月の請願審査の教育委員会の資料では、週4日・1日6,5時間で換算すると3億1,125万6千円となっています。常勤では13億2千万円です。これだけのお金で可能です。
③ 常勤を求めますが、せめて、非常勤の学校司書の配置を検討すべきです。今
後の方向性含めて伺います。
【学校教育部担当課長の答弁】
本市では、学校図書館において、地域人材の積極的な活用を図るとともに、図書ボランティアの研修機会の充実や、総括学校司書との連携を進める事によって、図書ボランティアの力量が高まってまいりました。このような背景もあり、現在、学校司書につきましては、図書ボランティア経験者をはじめ、教員経験のある方、総括学校司書経験者等を配置しています。検証結果からは、利用する児童数や貸出冊数の増加、児童の読書活動の広がり等の効果が表れております。さらに、授業で使う資料や関連図書の紹介等、授業支援の取組も広がっております。
一方で学校司書と図書担当教諭や担任との連携のために相談する時間の確保が課題であると考えているところです。こうした検証の結果を踏まえながら、配置回数等の改善につきましても、さらに検討を進めて参りたいと考えております。
【石田、教育次長に質問】教育充実のため、配置回数や時間数を増やし、計画的に前に進めるためにせめて非常勤の検討を
答弁は、図書担当教諭や担任との連携のために相談する時間の確保等が課題であると考えていて、配置回数等の改善についてもさらに検討を進めて参りたいとのことでした。 2015年10月の、「専任、専門、かつ常勤の学校司書を計画的に配置すること」を求めた請願審査は、全会一致で採択です。
④是非、子どもたちの教育充実のために、学校司書が担当教諭や担任と連携する時間の確保のために、配置回数や時間数を増やすことについて見解と対応を伺います。
⑤また、計画的に前に進めるためにせめて非常勤にむけ検討することについても伺います。
【教育次長答弁】
学校司書が、図書担当教諭や担任と相談する時間を確保する事は、子どもたちの読書活動の充実を図るために、重要な事と考えております。本格実施への移行にあたりましては、学校司書の配置回数の改善等について、関係局と協議しながら、検討を進めてまいります。
【石田質問】有資格の方向性を検討すべき
⑥学校図書館法が改定され、国は、学校司書の職務は専門的知識及び技能が必要と判断しています。 神戸市やさいたま市は、司書もしくは司書補の資格を有するものとしています。本市も今後について有資格の方向性を検討すべきと考えますが伺います。
【学校教育部担当課長の答弁】
学校司書配置もでる事業実施校の検証結果からは、学校司書の資格の有無にかかわらず、児童のよりよい読書活動の推進につながっている等、学校司書配置による効果が現れていると考えております.今後も国の動向を注視しながら、資質向上についての検討を重ね、学校図書館についての専門的知識及び技能を有する人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
最後に、今後も注視していく事を発言して質問を終わりました。」
【後記】
2015年より、学校図書館法が改訂され、学校に学校司書をおく事が努力義務となり、続いて文科省がだした「これからの学校図書館の整備充実(報告)」では、学校図書館には、授業における学習への利活用を通じて子どもたちの言語能力、情報活用能力等の育成を支える主体的、対話的な学びを効果的に進める基盤としての役割が明記され、学校司書が高い専門性を必要とする職種であるとし、「学校司書のモデルカリキュラム」が通知されています。
2015年に策定した本市の「学校司書設置要綱」は、「学校司書の業務にあたっては、教職員及び総括学校司書の指導助言を受けて①学校図書館経営の補助 ②蔵書管理の補助 ③学校図書館ボランティアの統括とする」としています。「教職員や総括学校司書の指導を受けて」となっていて、本の専門家として教員が授業を組み立てる上で、調べ学習や関連図書の紹介をしたり、授業にも参加する等の授業支援が位置づけられていません。この設置要項だから、1回3時間、年150回以内で、報酬ではなく、報償費となっているんだと思います。
モデル事業から本格実施にむけ、また全校配置にむけ、学校図書館の充実のため、今後も勉強し取組んでいきたいと思います