22日(土)の午後、2018年度川崎市男女共同参画センター共同事業として行なわれた企画に小堀祥子さんと一緒に出席しました。専修大学の学生さん、現役保育士さん、退職した元保育士さん、保護者の方等主催者含めて35人程参加しました。
専修大学の「兵頭ゼミナール」の学生さんたちが2016年度「保育園落ちた 日本死ね」のブログをきっかけに保育問題が注目される中で、2017年度待機児童問題に焦点をあて、今年度は保育の質に着目、保育の質の根本となる保育士の労働環境がおろそかになっていると考え、川崎市保育問題交流会とともに実態調査を実施、市内全認可保育所(361園)の職員対象に、郵送で「保育労働と保育の質に関するアンケート」の配布と回収を行なったとのことです。
3610票のうち772票の回収で回収率は21,4%、その回答を分析、今回そのまとめが報告されました。アンケートを保育園にお願いするにあたり「上からださないようにといわれたけど、皆さんの研究にお役に立つのなら」と協力してくれた方もいたとエピソードも語られました。
働く・食べる・遊ぶ〜3つの「保育の質」について5人の学生さんが分担して報告しました。
「働く」では、アンケートの結果から、保育の質を改善する上で重要な事は「賃上げ・待遇改善」の回答が一番多かった事、約75%が職務内容や労働負担から考えて賃金が低いと考えている事。70%の人が保育士職員が足りないと考えていることなどがわかった。これらの調査から、労働環境を改善するためには、職員の増員が必要→増員には配置基準の引上げ。賃上げ・待遇改善を行うのならば、全職員を対象にし、複雑な仕組みにしないと小括しました。
「食べる」では、実際に保育園に行き、自園調理の味見や子どもの様子、食育に力を入れている保育などを実際に体験し、保育の食は子どもたちの成長にとって大切、自園調理は食事に力を入れる事ができる.外部委託や外部搬入が増え事故も起きた。調理師や栄養士をおいていない園は株式会社に多い.→保育の質より量を重視する政策が進んでいる→これ以上の規制緩和は避けるべきと小括しました。
「遊ぶ」〜保育園における「園庭」のテーマでした.園庭は子どもの心身の成長に必要!とその必要性を学ぶ。しかし、園庭の基準緩和が行なわれ、認可であっても園庭が無しでも認可されるようになった歴史背景を学び、実際に園庭の無い保育園で子どもと一緒に近くの公園に引率のお手伝いをしたりしました。
園庭のない保育園のいくつもが公園に遊びにきている状態だったとのこと。
順番のように園庭で遊ぶので、30分ばかりで園に帰ってきたとき、子どもが「もっと遊びたかった」と泣かれた時は本当に切なかったと、園庭のある保育園の大切さを実感したとのことです。
都市公園法の改正で公園内に保育園をつくれるという規制緩和を知って、その方法なら可能になるのなら次善の策かなと思っているとの報告でした。
そのあと、川崎市保育問題交流会の川岸弁護士さんから「保育士さんの現場から見た、今、必要なこと」、続いて専修大学経済学部の兵頭教授から「大学と市民の共同から施策へ」の報告があって、そのあとディスカッションをしました。
ディスカッションでは
学生さんが市民と共に調べた事はとても大事だと思う。あなたはなぜ研究するのかを聞かせてほしいという発言があり、一人一人の学生さんから語られました.その話がとても新鮮でよかったです。そして、私自身は、学生さんたちが保育の質として、「働く」「食べる」「遊ぶ」に着目した事はとても素晴らしいし、嬉しいと思いました。調査と現場に足を運んだことで深まったんだと思います。
現役の保育士さんから「私は園庭の無い保育園で働いています。」「本当は園庭のない保育園をつくってはいけないんです。でも法人がどんどん手を挙げて園庭のない保育園をつくっているし、規制緩和されたから止める事はできないです」「都市公園法の改正では問題は解決しません」といわれました。
多くの方が発言し、とても充実したディスカッションだったと思いました。