議会活動報告

教職員の働き方・仕事進め方改革について質問しました

2019年3月11日

35日予算審査特別委員会で質問しました

石田質問1問目

教職員の勤務実態調査の最終報告では、約93%の教員が「休憩を取れない」「ほとんどとれない」状態で,中学校で111時間23分、小学校が10時間40分校内で働いています。その上約7割の教員が休日出勤しており、中学校に至っては、月3日以上出勤が約8割、月7日以上出勤がなんと25%、4人に一人にのぼります。

総括教諭及び教諭の始業前及び終業後の業務内容は小学校、中学校とも「授業準備」となっており、その割合は始業前については、小学校87,8%、中学校83,2,%、終業後については小学校80,4%、中学校41,6%です。

又、中学校教員の休日出勤の業務内容は部活動69%に次いで、授業準備50,4%である事が示されました。

実態調査で浮き彫りになったのは、最もやりがいのある授業の準備を朝早く来て、あるいは夜遅くまで、または休日出勤をして行なっているということです。そして、83%の教員が授業の準備時間をしっかりとりたいと答えていることです。

教育委員会としてこのような現状をどう考察しているか伺います。

勤務実態と学校を取り巻く環境についての現状の課題を伺います。

教育次長の答弁

勤務時間等についての現状や課題についての御質問でございますが、

学級担任制である小学校、教科担任制である中学校でそれぞれ事情は異なりますが、一般的に小学校の教諭は毎時間授業をしており、休み時間も児童と一緒に活動することで子ども同士の関わりを把握したり、児童の安全配慮を行っていることから、児童の在校中は空き時間がない状況でございます。

また、中学校の教諭は、担当教科により授業時数は異なりますが、授業のない時間には、校内巡回等を含めた生徒指導や進路に関連した業務等のウエイトが大きくなり、これらの指導に加え、部活動指導に関わる業務の時間が長くなっている状況でございます。

そのため、児童生徒の在校中は教職員間での会議・打ち合わせ、学校運営上必要となる校務分掌に位置づけられた事務、授業準備、教材研究の時間を十分に取ることができず、これらの業務は勤務時間外の対応とならざる得ない状況となっているところでございます。

次に、課題につきましては、授業準備や教材研究に充てる時間が時間外勤務となっている状況を踏まえますと、現在行っている業務の改善や整理を行うとともに、学校が担うべき業務、教員が担うべき業務について、教員の専門性を踏まえた役割分担の見直し・適正化を図っていくことが課題であると捉えているところでございます。

石田質問2問目

新年度、留守番電話の設置や事務支援員を28名配置するとしていますが、全教員の8割以上の教員が始業前や終業後に授業準備や教材研究を行っている実態。行なわざるを得ない実態をこうした対策などで克服できると考えるのか伺います。

教育次長の答弁

教職員の業務は多岐にわたっており、授業や児童生徒指導といった「児童生徒の指導に関わる業務」に従事している時間だけで正規の勤務時間を超えている状況であり、授業準備や学級経営などの業務は始業前や修行後におこなっていることが調査結果で分かったところでございます。

教職員はこれらの業務の他に、学校運営上必要となる学校徴収金・就学援助事務、調査報告書作成といった事務的な業務も校務分掌により担っているところであり、また、児童生徒の下校後にも問題行動が生じた場合は、その指導等の対応が求められ、さらに、突発的な保護者からの相談や問い合わせにも対応しているところでございます。

このたび、教職員の働き方・仕事の進め方改革の基本的な考え方、当面の目標、取り組みの視点及び具体的な取組等を「教職員の働き方・仕事の進め方改革の方針」としてまとまましたので、校種別の課題を踏まえながら、総合的に方策を進めていくことで、教職員の長時間勤務の解消に向けて取組を進めてまいります。

石田質問3問目

今回、教育委員会が示したのは、当面の目標として勤務時間を越える在校時間が1ヶ月あたり80時間を越える教職員をゼロにするということです。これは80時間のぎりぎりまでの働き方を容認するということです。当面というのはいつまでと考えているのか伺います。

次の対策をいつどのように出すつもりか伺います。

厚労省の「脳・心臓疾患の認定基準」では、1ヶ月あたり80時間を越える時間外労働を「過労死ライン」とし、「概ね45時間を越えて長くなるほど、業務と心臓疾患などの発症との関連性が徐々に強まる」と述べています。だからこそ厚生大臣の大臣告知は残業は月45時間までと告知されているのです。本市の当面の目標を「月45時間を越えない」よう改めるべきですが伺います。今後、この時間を目標に設定する考えはあるのか伺います。

教育次長の答弁

この度の方針は、かわさき教育プラン第2期実施計画である平成33年度までの取組として策定したものでございますので、方針に基づく業務改善や人員体制の確保、教職員の意識改革などの取組を総合的に行うことにより、働き方・仕事の進め方改革を推進してまいります。

また、方針では、当面の目標として、「正規の勤務時間を超える在校時間が1か月当たり80時間を超える教職員をゼロにする」としたとこころでございます。文部科学省では、学校における働き方改革の総合的な方策の一環として、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定し、他の長時間勤務の削減方針と併せて取組むべきとしておりますので、今後、改革の取り組みを進める中で、在校時間の動向などを検証するとともに、ガイドラインを踏まえた目標値についても、多くの教職員が有している意欲ややりがいを大切にしながら、必要に応じて見直しを図ってまいります。

石田質問4問目

文部科学省の「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を踏まえた目標値についても必要に応じて見直しを図ってまいりますという答弁です。このガイドラインの目標値は1ヶ月の時間外は何時間を超えないようにすることと定めているか伺います.又、1年間の時間外の合計時間も何時間を超えないようにする事と定めているか伺います。

教育次長の答弁

ガイドラインにおける「勤務時間の上限の目安時間」についての御質問でございますが、

ガイドラインでは、「1か月の在校等時間の総時間から条例等で定められた勤務時間の総時間を減じた時間が45時間を超えないようにすること」とされ、また、「1年間の在校等時間の総時間から条例で定められた勤務時間の総時間を減じた時間が360時間を超えないようにすること」とされているところでございます。

石田質問5問目

文科省のガイドラインに沿って、時間外勤務を月45時間を超えない事。年360時間を超えない事。この目標値をしっかり本市の働き方改革の方針に定めることを強く求めておきます。

この目標値にする方策についてです。

私たちは教師の長時間労働の一番の原因は、教員増なしで授業時間を増やしてきたからと考えています。学習指導要領で決められている小学校6年間と中学校3年間でまなぶ総授業時数の推移について、1,980年時と現在について伺います。

教育次長の答弁

総授業時数の推移についての御質問でございますが、

昭和55年当時の、総授業時数につきましては、小学校6年間では、5,785時間、中学校では、3、535時間でございました。

現在の総授業時数につきましては、小学校では、新学習指導要領の移行期となっており、学校ごとに異なりますが、5、645時間から5、785時間となっております。また、中学校では、3、045時間となっております。

石田質問6問目

この間、学習指導要領は幾たびか変遷をへています。週6日で行なわれた授業が2002年に5日制になりましたが、2008年から09年度の改定では、授業時間数の増、指導内容の充実、小学校外国語活動の導入等が盛込まれ、現在の総授業数は答弁があったように1980年時とさほど変わりません。次期改定の2020年には週6日制時代の授業時間に戻るといわれています。

5日制のもと、今述べた総授業数を教職員定数を増やさないで行なえば、1日の勤務時間内に授業準備はとれないと考えますが伺います。

教育次長の答弁

総授業時数と教職員定数についての御質問でございますが、

本市では、これまで、全小学校への児童支援コーディネーターの専任化や、通級指導教室及び特別支援学校のセンター的機能の拡充など、かわさき教育プランに基づく教育施策の推進や、学校現場ニーズ等を踏まえ、効果的な教職員配置を行ってきたところでございます。

さらなる教職員定数の改善につきましては、業務標準法の改正を含む定数改善計画の策定・実施が重要であると考えておりますので、引き続き、指定都市教育委員会協議会、指定都市市長会等、様々な機会を通じて国に対し強く要望してまいります。

また、昨年度実施した勤務実態調査におきまして、教員の長時間勤務の実態を、改めて確認したところでございますので、「教職員の働き方・仕事の進め方改革の方針」に基づく数々の取組を、総合的に実施することで、教職員の長時間勤務の解消を図ってまいります。

石田意見要望

勤務実態調査は答弁があったように、授業準備や校務分担事務、会議などは時間外に行なわざるを得ない実態を示しました。長時間労働は限界に来ています。平成29年度の長期病休者は76人、うち精神疾患が、原因の方は57人にものぼります。83%の先生が授業準備にもっと時間をしっかり取りたいと答えています。授業準備や教材研究をしっかりやってどの子にも行き届いた授業をやりたいと答えています。先生たちは専門職としての誇りややりがいがあります。この声に応えるには、抜本的な対策が必要です。

教員の勤務時間内における授業のコマ数を減らさなければ、現在、始業前、終業後、休日にやっている授業準備を時間内に行なう事は到底困難な事は明確ではないでしょうか。日本教育新聞のアンケートでは教育委員会の実に97,2%が国に定数改善を望んでいます。本市も教育次長が、国に対し、強く要望してまいりますと答弁しました。

しかし、実態調査でこれだけ現状が明らかになったのですから、国に要望していくだけではなく、本市独自に教職員定数を増やす事を強く求めます。そして過労死ラインの「80時間を超える教員をゼロにする」という目標ではなく、1日も早く、ガイドラインでいう時間外勤務が月45時間を越えないようにすることを強く求めておきます。